米国の第45代大統領となるドナルド・トランプ氏(70)の就任式が20日正午(日本時間21日午前2時)、首都ワシントンの連邦議会議事堂前広場で行われる。80万~90万人が詰めかけるとみられるが、09年のオバマ大統領の就任式(約180万人)の半分以下になる見通しだ。一方、約100の団体が抗議のデモを予定している。こちらは過去平均の10倍! 波乱の船出となる。

 トランプ氏が「記録的な数の聴衆がやってくる」と豪語する晴れ舞台。だが現地メディアによると、実際は過去最多だったオバマ氏の半分以下になる見通しだ。就任式には歴代大統領らも出席するが、すでに第41代“パパ”ブッシュ元大統領(91)が肺炎で欠席を通知。「正当な大統領と思わない」として民主党議員約60人がボイコットする。周辺では、これまでの差別的言動などに抗議する多数のデモも計画されており、猛烈な逆風の中での第1歩となりそうだ。

 大物アーティストからも見放された。8年前はビヨンセ、スティービー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーンらが式典を彩ったが、今回はセリーヌ・ディオン、エルトン・ジョン、ビーチ・ボーイズらに出演を断られた。就任演説後の国歌は16歳のジャッキー・エバンコが歌う。トランプ氏周辺は「就任式はコンサートではない」としているが、記録的な低水準の支持率を含め、就任後のかじ取りに懸念が広がる。

 トランプ氏は20日正午から連邦議会議事堂前で就任宣誓。演説では「米国を再び偉大にする」決意を示し、その後ホワイトハウスまでの約2・5キロをパレードする。当日は複数の大統領令を発令する方針。メキシコ国境への壁建設やTPPからの脱退など、主要公約のいずれかが入っているとみられ、初日から国際情勢に影響を与える可能性もある。1期目として歴代最高齢、公職経験ゼロの異色大統領の誕生を、世界が見守っている。