「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が今年7月、ユネスコ「世界遺産」に登録された。1549年、日本に伝えられたキリスト教は、江戸時代に禁教となった。信徒への厳しい弾圧の中、潜伏キリシタンはそれぞれの集落で独自に信仰を実践してきた。代表的なのが、熊本・天草地区の崎津(さきつ)集落。小さな漁村は、運命共同体として維持され、今では仏教、神道、キリスト教が一体となった御朱印が出るほどだ。今回はこのほか、長崎県と熊本県でキリシタンが絡む主な歴史の舞台を巡ってきた。

長崎と天草、弾圧や迫害など「負の遺産」が絡む旅だった分、帰りに乗ったJR九州「A列車で行こう」が軽快に感じた。天草・松島港から三角港へ「天草宝島ライン」に乗船後、三角~熊本間約40分。2両編成のディーゼルでの移動は、「エンタメ空間」に様変わりした。車内で流れるジャズの名曲「A列車で行こう」と、車窓からの有明海の景色に心は和んだ。