東京・池袋の都道で乗用車が暴走し、近所に住む母子2人が死亡、8人がけがをした事故から一夜明けた20日、事故現場の交差点に献花台が設置された。

無職の飯塚幸三さん(87)が運転した車は、ガードパイプに接触した後、暴走して横断歩道に突っ込み、近くに住む松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)が死亡した。献花台には親子連れや女性をはじめ、老若男女が次々と訪れ、花束やお菓子、ジュースなどを置き、松永さん母子の冥福を祈った。その足は、夜まで途切れることはなかった。献花台に手を合わせた瞬間、泣きだしてしまう女性も、少なからずいた。

池袋で生まれ、育ち、事故現場近くに今も住んでいる鈴木智進さん(72)は1度、手を合わせた後、何度も、何度も手を合わせ、しばらく献花台の前を離れなかった。「私が生まれた当時、この辺りは麦畑だった。都電の停留所が出来て、衝突する事故はあったけれど…ここまでの(大きな)事故は初めて」と語った。

今回の事故を受けて、高齢者の運転の是非が問われている。中には、高齢者の運転免許の返納を求める声も出ている。鈴木さんは「免許を返納した方が良いという意見は、そうかなぁと私も思う。ただ(公共の交通機関が発達している)都会にいれば返納してもいいでしょう。でも、地方だと足がなくて、ゴミ出しも車で…という人もいる」と高齢者の現状を語った。

中には、免許を返納し、車を売り払ってタクシーに乗ればいい、という意見まである。鈴木さんは「80歳前後にまでなってしまうと、ある程度、お金を持っている人じゃないとタクシーを利用し続けるのは難しい。免許の返納については、ちょっと考えてしまう」と複雑な思いを口にした。【村上幸将】