午後6時前に出船したんだが、やはり夏だな。まだまだ明るい。沖に視線を移すと、富士山の稜線(りょうせん)が美しい。しかも秒単位で空の色が変化していく。マジックアワー。自然界の壮大な映画だな。この景色を目に焼き付けられただけで、西伊豆に来た意味が持てそうだ。たばこの紫煙をくゆらせる。気持ちいい。

 さて、そして文章冒頭の釣りだ。同行したエージが「なんかきた。底でゴ、ゴンってきた。デカいッスよ」と興奮している。上がってきたのはデカいアジ。久保田清船長は「夜釣りをしてるとこのサイズがバンバンはいる。いいオマケだら?」と西伊豆の方言で教えてくれた。このほかにカサゴやサバもデカい。結果、五目釣りになるから楽しいねぇ。

 クロムツは大瀬岬の周辺の水深80~50メートルの比較的浅瀬で釣れる。夜になると超深場からエサを食いに浮上してくるようだ。サバの切り身をハリに掛ける。すぐにバクリとくる。取材のタコボウズ記者は「5本バリ全部に掛ける」とか言ってアタリが出てからしばらく放置していたが、クロムツの元気が良すぎて、ハリスごと切られた。アタリがあったら、取り込むのが確実だな。

 今回は調査だったので2時間ほどの釣行。でも、満足できた。今後、秋までこの釣りはしていくという。都会では体験できない夕景の富士山も見られる。夜釣りなので紫外線も気にならない。クロムツで釣りを始めるのも悪くない。みなさん、この釣り、オススメします。

 ▼船 久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。クロムツ釣りの乗り合いは午後6時集合。エサ、氷付きで1万500円。魚磯丸の開発した万能だれ「お酒とごはんがおいしいくん」は1リットルが1600円、1・5リットルは1950円。