<日本生命セ・パ交流戦:楽天0-4阪神>◇15日◇楽天生命パーク

 阪神藤浪晋太郎投手(24)が「日本生命セ・パ交流戦」楽天戦(楽天生命パーク宮城)に先発。昨年5月4日ヤクルト戦(神宮)以来、勝ち星から見放されていたが、6回1/3無失点の好投で、実に407日ぶりの勝利投手となった。

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 「キズナだ! キズナだ! キズナ差し切ってゴール!」。熱い実況に何度胸を熱くしただろうか。苦悩にまみれた1年1カ月の間、藤浪が心の支えにした動画がある。13年の競馬・日本ダービー。武豊騎乗のキズナが大外から豪快に差し切ったレースだ。

 当時、天才ジョッキーは10年の落馬負傷から不振がささやかれ続けていた。完勝で周囲を黙らせた名場面。「ゴールの後、豊さんのグッと小さくかみしめるようなガッツポーズに、どれだけの感情がこもっていたんだろう、と思うと…。自分も頑張れます」。いつだって、あの右手の握り拳を見れば心を強く保てた。

 制球難に苦しみ、各方面から不調の要因を精神面と結論づけられた。藤浪は「精神的な問題なら、もうとっくに投げられなくなっていますよ」と苦笑いする。開幕前の3月、テレビ放送の企画で野球評論家・桑田真澄氏と対談。「藤浪くんに足りないのは技術力」と言い切られて「納得できた」と言う。「僕は、技術は精神面を凌駕(りょうが)する、と思っている。技術を上げるしかない」と、最善のフォームを模索した。

 5月、藤浪は武豊と食事を共にし「頑張ってな」と言葉をかけられた。2人の絆を白星で表現し、藤浪は再びゲートから飛び出した。【阪神担当=佐井陽介】