ヤクルトの青木宣親外野手(36)が、生涯打率でトップに躍り出た。3日の中日6回戦(神宮)で、生涯打率の条件となる4000打数をクリアした。この日は5打数1安打で通算3割2分7厘となり、同3割2分で1位だった元ロッテのレロン・リーを抜いた。6年間のメジャー生活を経て復帰した首位打者3度の安打製造機が、サヨナラ勝利で連敗を6で止めたチームを引き上げる。

 青木が勢いよく一塁側ベンチを飛び出した。延長10回1死一、二塁。サヨナラ勝利を見届けると、バレンティンに続いて殊勲打の荒木へ猛ダッシュ。満面の笑みで飛びつくと、二塁付近で歓喜の輪が一気に広がった。「良かったよ。マジで良かったよ。みんな今日はって気持ちでやったしね」と興奮気味に振り返った。

 生涯打率1位に躍り出た自身の話題になると一転、言葉を詰まらせ素っ気なかった。「まだ現役なので。終わった時にそうなっていればいいけど…。チームが勝った。それだけです」と苦笑いを浮かべた。

 日本野球への対応に苦心している。9回2死二塁のサヨナラ機で右直に倒れ、ヘルメットを地面にたたきつけて悔しがった。メジャー投手のパワーに対抗するために築き上げたシンプルに打ちにいくフォームが、日本の投手の変化球や、長い間合いとうまくかみ合わないことに戸惑った。

 加えて、対戦投手はほぼ初見。「映像で見るのと実際に打席で見るのとは違う。何回か対戦していけば一致してくると思う。やるべきことはいろいろある」。休日返上で打ち込みながら、さまざまなバットを試す試行錯誤を続ける中で、サヨナラ勝ちへの道筋はキッチリつくってみせた。

 節目の4000打数目となった7回2死から放った、外角直球にアジャストした中前打。山田哲の8号ソロで生まれた反撃の芽をしっかりと膨らませ、バレンティンの同点2ランを導いた。「後ろがバレンティンで、風もあったし、とにかく出ることだけ考えていた」。経験から得た勝負の潮目を見る冷静な目で、敗戦ムードに風穴をあけた。

 最後まで自分を傍らに置いた。「いい試合が続いているけど勝ち切れなかったので、すごく大きい。もっと状態を上げていかないといけない」。ここまで打率2割5分7厘、0本塁打。青木宣親は、こんなものじゃない。【浜本卓也】

 ▼青木が通算打率ランキングの条件となる通算4000打数に到達。4001打数1310安打で打率3割2分7厘となり、リー(ロッテ)の3割2分を抜いて歴代1位で登場した。落合(日本ハム)は4000打数に到達した中日時代の89年7月14日に打率3割2分6厘の1位で登場したが、引退時は3割1分8毛まで下がり現在は8位。日本ハム時代の06年7月18日に2位で到達した小笠原(中日)は07年途中に一時トップに立つも、最終的には打率3割1分の9位。青木は最後まで1位を守れるか。