投打でG倒や!

 阪神能見篤史投手(34)が16日、藤井彰人捕手(37)とともに大津市の琵琶湖グランドホテル・京近江で行われた阪急交通社主催の「トークショー日帰りツアー」に参加。開幕投手について初めて言及し、2年ぶり3度目となる大役に照準を合わせていることを明かした。さらに、打撃でも開幕戦アーチに夢をふくらませた。

 その目は3・28をとらえていた。能見が14年シーズンの開幕戦巨人戦(3月28日、東京ドーム)について初めて言及した。「(開幕戦に合わせることに)変わりはないですね。両チームいいスタートを切りたいですから、そこに合わせて準備していきます」。エースは2年ぶり3度目の大役に照準を合わせていた。

 今季はWBCに出場したことを考慮され、メッセンジャーに開幕マウンドを譲った。だが2年連続で大役を譲る気など、さらさらない。「いいスタートを切りたい。そう意気込んでもいけないよ」。能見らしくクールに燃えた。

 悪夢を振り払う。今季の8月27日からの3連戦。首位巨人と5ゲーム差で敵地に乗り込み、同一カード3連勝を狙った。だが結果は3連敗。8月29日に先発した能見は土壇場9回に同点に追いつかれ、ベンチに下がるとグラブをたたきつけた。悔しさだけが残った一戦。今季11勝、リーグトップタイの6完投を挙げた左腕がその悔しさを晴らし、チームをロケットスタートに導く。

 打撃でもみせるつもりだ。東京ドームは5月6日にプロ1号を右翼スタンドに放り込んだ縁起のいい場所。「セ・リーグは打席に立つ機会があるので(もう1度打ってみたい)気持ちはあります。簡単には終わりたくないという気持ちで立っていますね。打席には楽に入れますね」と腕を回した。過去11人しか成し遂げていない、開幕戦での投手の本塁打へ、色気をのぞかせた。今季は巨人戦で3勝3敗。チームも11勝12敗1分けと互角。投げて、打って、走って…。14年シーズン開幕を最高のスタートへ。「14番」は準備を整える。【池本泰尚】

 ▼開幕戦で本塁打を打った投手は過去11人(13本)。最近では中日の川上憲伸が、08年3月28日広島戦(ナゴヤドーム)で大竹から放っている。プロ野球初の投手開幕戦アーチは38年4月29日、春のシーズン開幕戦でタイガース(現阪神)御園生崇男が阪急戦(後楽園)で記録。能見が来季の開幕戦で打てば、球団史上76年ぶり2人目となる。