<阪神6-5広島>◇9日◇甲子園
笑顔なき6勝目だ。マウンドに2番手加藤が近寄ると、阪神藤浪晋太郎投手(20)は帽子に手をやって謝った。プロ初完投さえ視界に入った8回、広島打線につかまった。1死から連打と四球で満塁とされ、岩本に2点適時打を浴びマウンドを降りた。
7回1/3を投げ9安打5失点。7回をわずか90球、1失点でしのぎ、余力も十分のはずだった。8回に急変し、無念の降板。勝利の方程式を投入する事態を招き、8回終わりには帽子をとって3番手福原を出迎えた。ベンチでは祈るように見つめるしかない。悔やみきれないイニングとなった。
「完全に完投ペースだし、完投しないといけない点差。リリーフの方に申し訳ないです。(8回は)リリースポイントが合っていない感じでした」
ミッションを果たせなかった。6回10安打6失点と荒れた前回1日ヤクルト戦からの修正は見せた。5回からは「合っているような感じがしたので」とノーワインドアップからセットポジションでの投球に変更。柔軟な思考で主導権を握った。だがもはや藤浪に求められるのは試合をつくって勝つことだけではない。
中西投手コーチは「メカニック的にはよかった」としながらも「福原とスンファンは出しちゃいかん」と厳しかった。期待と責任は痛いほど分かっているだけに、藤浪の表情は最後まで暗かった。浮き出た収穫と課題。苦しみながらつかんだチームトップタイの6勝目を良薬にするしかない。【池本泰尚】



