阪神藤浪晋太郎投手(20)が、悲壮感を漂わせ、タカ狩りに燃えた。今日28日にヤフオクドームに場所を移して行われる「SMBC日本シリーズ2014」の第3戦に先発。短期決戦で無類の強さを発揮する若武者は、球団の日本シリーズ最年少勝利投手の記録に挑む。

 甲子園新室内練習場からクラブハウスへと続く通路で、藤浪が歩を止めた。口調こそ普段通りでも、言葉には自然と力が入った。

 藤浪

 楽しむ、という感覚は一切ないですね。せっかくチームとしてこういう舞台まで勝ってこれたので。失点は少ないに越したことはない。できるだけゼロに近い数字で抑えたい。

 雨で芝生がぬれたため、室内練習場で行われた投手練習。キャッチボールやショートダッシュを入念に行い、汗をしっかり流した。高卒2年目で立つ大舞台。しかも星取りは1勝1敗のタイで、敵地に乗り込んでの初戦だ。日本一の行方を占うと言っていい一戦での登板に、悲壮感に近い雰囲気を漂わせていた。

 短期決戦では無類の強さを発揮する。それは大阪桐蔭での甲子園春夏連覇で証明済みだ。CSファイナルステージ巨人戦でも7回6安打1失点と結果を出した。日本シリーズも2戦すべてをテレビで観戦。イメージを具現化し、強力打線に向かっていくつもりだ。

 藤浪

 つながり始めると、という感じ。ヒットは多少打たれるということも想定しながら、打線としてつなげないようにしたい。

 勝てば球団史上最年少での白星をつかむ。藤浪は20歳6カ月。62年東映との日本シリーズで村山が記録した25歳10カ月を大幅に更新することになる。だが、それも今の藤浪にはただの数字にすぎなかった。

 藤浪

 目の前の試合に集中します。マウンドに上がれば2年目も何も関係ない。自分の仕事をしっかりしようという気持ちです。

 シリーズがもつれれば、11月2日の甲子園での最終戦に登板する予定。29年ぶりの日本一をたぐり寄せることができるか。負けるのが大嫌いな藤浪が、仁王立ちする。【池本泰尚】

 ◆日本シリーズの年少勝利

 藤浪は20歳6カ月。21歳未満で勝てば06年第5戦のダルビッシュ有(日本ハム=20歳2カ月)以来となる。シリーズ最年少勝利は51年第4戦の服部武夫(南海=18歳10カ月)。セの投手で20歳6カ月以下は56年第5戦の義原武敏(巨人=19歳2カ月)と67年第2戦の堀内恒夫(巨人=19歳9カ月)が記録している。