将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)は25日の竜王戦6組決勝(東京・将棋会館)で近藤誠也五段(20)を下し、本戦トーナメント進出を果たした。これでデビュー以来、19連勝。2月にインターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの番組企画で対局した深浦康市九段(45)に、全対局内容を寸評してもらうとともに、その強さを語ってもらった。

 深浦九段が思わず、「しぶい」とうなった手がある。今月14日に放送されたばかりの、NHK杯1回戦の千田翔太六段戦だ。1図は、藤井四段が後手4一角と自陣に打ち据えた場面。受け一方の「専守防衛」になる。「自信がないと打てない角です」。

 2図、さらに受けの妙手が飛び出す。後手7二桂。相手の馬が7五に進出するのを阻むだけでなのだが、きっちり利いている。「すぐには打てないが、大事な一手。馬の働きを止め、自分の他の駒を活用する。流れが変わったと言っていいかもしれません」。

 詰将棋解答選手権3連覇で終盤力に定評があるが、「受けの力が確か」と認識していた。

 ◆NHK杯将棋トーナメント 1951年(昭26)度、ラジオ放送でスタート。62年度の第12回からテレビに。本年度で第67回目。50人によるトーナメント。今は原則、毎週日曜日午前10時30分から正午、Eテレで1局ずつ放送。