日本代表MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が極秘裏に手術を受けていたことが19日、分かった。W杯アジア最終予選の第3戦オーストラリア戦(12日、ブリスベーン)からの帰国後、国内で近視矯正のレーシック手術を受けた。手術前は両目とも0・4だった視力が2・0へと劇的に良化。優勝すると公言している2014年W杯ブラジル大会に向け、文字通り「視界良好」だ。

 本田が手術を受けていた。FKを蹴る直前に不可解な終了のホイッスルが鳴り1-1で引き分けたオーストラリアとの激闘から13日に帰国。その後、分刻みのスケジュールの合間を縫い、近視矯正のためレーシック手術を終えた。もはやトレードマークともなったサングラスの奥のぎらついたひとみは、両目とも2・0に。ほぼ完璧な状態となった。

 どんな試合でも最高のプレーを逆算しながら完璧な準備を進めるタイプ。圧倒的な活躍で日本代表をけん引したW杯最終予選の3試合は、試合2日前から報道陣の問いかけにも口を閉ざし、集中力を極限まで高めた。そんな中、ひとつの懸念材料があった。それが視力。欧州移籍後に視力の低下を感じるようになったという。本田は代名詞ともいえる無回転FKを蹴る際、靴ひもの色やボールのデザインが違うだけでも気になる、と話す鋭敏な感覚の持ち主。これまで試合に悪影響があったことはないようだが、すべての情報を取り込む「目」のズレは、致命傷になりかねない大きな要素だった。

 W杯最終予選の序盤3試合を終えたこのタイミングで、根本的な治療を決断した。親しい知人を通じ「新宿近視クリニック」での手術を選択。術前に精密検査を受けたところ、視力は両目とも0・4と思っていた以上に悪かった。本田の状態に合わせ細部をカスタマイズした最先端の施術方法で、視力は2・0に。新たな「目」を手に入れた。

 手術後の経過は良好。本人も、ごく近い関係者に好感触を伝えているという。オーストラリア戦後は子どもたちにサッカーを通じて夢を持つことの大切さを説く活動に時間を割いている。15日には自身が監修し、故郷大阪に開校したサッカースクールを電撃訪問。16日には千葉・成田でのサッカー教室でプレーもした。

 ロシアリーグは7月下旬に開幕するため、与えられたオフの期間は短く時間は限られている。他の日本代表選手のようにテレビ番組への出演などは一切せず、わが道を行く。極秘裏に手術という決断を下し、自身の不安要素も拭い去った。右膝のけがを乗り越え代表に戻ってきた5月中旬には「オレは常に前進している。(右膝を)手術したことで、その時点から新たな本田になり得た。新しい本田を、ここからつくっていく」と言い切った男。目の手術も受けた“ニュー本田”。公言するW杯優勝へ、文字通り視界良好となった。

 ◆レーシック

 視力を矯正する角膜屈折矯正手術の一種。目の表面の角膜にレーザーを照射し曲率を変えることにより視力を矯正する。電動メスのような刃物で角膜の薄皮1枚(角膜上皮)を、一部を残してめくり薄皮の下の角膜実皮を特殊なレーザーを当てて削り、角膜を変形させることで視力が矯正できる。一般的に目薬による麻酔で、日帰り手術が可能。手術に要する時間も短い。ゴルフのタイガー・ウッズら超一流アスリートもこの手術を受けている。

 ◆本田の手術

 プロ入り後、1度だけ右膝にメスを入れている。昨年8月28日のスパルタク・モスクワ戦で右膝を痛め負傷交代。9月1日にスペイン・バルセロナの病院で膝の権威といわれる名医執刀のもと、右膝半月板の手術を受けた。

 ◆本田の今後

 所属するCSKAモスクワは本田や欧州選手権に出場していたロシア代表組を除き、既に12-13年シーズンに向け始動している。本田も近日中にモスクワに戻るとみられる。7月22日のロストフとのリーグ開幕戦に向け、7月上旬にはオーストリアで合宿を張る。同地ではパリサンジェルマンなど複数クラブとの練習試合が予定されている。今夏に移籍が決まった場合は新天地でのスケジュールに沿って動くことになる。