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2005/10/24

JBLプロリーグ化を前に、東芝は…
日本バスケットボール協会(JABBA)は、2007年のプロリーグ化を目指し、準備をすすめています。スーパーリーグで唯一、日本人全員が社員選手の東芝がプロリーグにどのように参入するか、注目が集まっています。鎌田光顕監督(39)はプロ化の枠組みがどうであれ、それ以前にチームとして、自分たちが何をできるかを真剣に考え、取り組み始めています。地元に愛されるチーム作りへ、地道な努力を始めています。【構成:飯田みさ代】
中原 2007年にJBLがプロ化するということだけど、鎌田自身はどう思ってる?
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| プロリーグ化について語る鎌田監督 |
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鎌田 あくまでも、個人的にはいいと思うよ。「プロ」である方が、選手も張り合いがある。プロ化する時期が2007年が適当かどうかは分からないけれど、あとは、やり方の問題だと思う。
中原 東芝もプロリーグに参入するんだろ?
鎌田 うーん。プロリーグそのものに参加できるかは難しい問題なので(笑い)。さっきも言ったようにやり方の問題。最終回答は3月。リーグがどう判断するかは分からない。僕ら現場は、目の前のことをやるしかない。
中原 とにかく毎試合全力で戦い、結果を出すということ?
鎌田 そう。だから、とにかく今季も勝つしかない。
中原 11月には、一足先にbjリーグが開幕するけど。
鎌田 興味はあるけど、我々は日本のトップリーグとして負けられない。今季の6チームに加えて、来季は2チーム増えるんでしょ。
中原 富山と香川のチームが加わり、将来的には12チームまで増える形みたいだね。
鎌田 でも、われわれ現場としては、共倒れにならないかなという不安、危機感もある。bjが波に乗れば、バスケットボール自体が盛り上がってくれる可能性はあると思うけど、こけたら…。
中原 「共倒れが怖い」って、かなり前から言ってるよね。どういう形でもいいからバスケットが目立ってくれればいい。ファンはバスケットを見に、会場に足を運ぶと思うから。「プロ」って聞こえはいいけど、実はプロほど大変なものはない。生活の保障がないんだから。
鎌田 食べられないプロじゃしょうがないよね。bjリーグの最低保障年俸は相当低いって聞いたけど厳しいよね。選手のためにはうまく盛り上がり、保障も高まればとは思うけど。JBLも契約選手が多くなっているので、その辺も考えていいリーグを作っていかないとね。まあ今も、JBLの良さはあるんだけど、今ひとつ伝わっていないところがあるから…。
中原 今ひとつどころの騒ぎじゃないでしょ。
子供たちに顔を覚えてもらうことが第一歩
鎌田 まあね。もちろん、チームの努力が足りないところもあるけれど、リーグもしっかりと宣伝してくれないと。とはいえ、まずは自分たちが動かないといけないので、今年は特に力を入れている。
中原 例えば?
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| 「日本一のチームを知らないの?」とショッキングな表情を見せる中原氏 |
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鎌田 富士通レッドウェーブの岡里明美さんも、この対談の中で言っていたけど、川崎市と推進パートナーシップを結んで、フロンターレや他のスポーツと一緒に地域に根付くような形でイベント、クリニックをやってきている。チームとしてできるのは、クリニック。いろいろな場所へ行って、子供たちに顔を覚えてもらって、ということが第一歩。だって、神奈川県内どこへ行っても、子供たちが選手を知らないんだよ。
中原 県内の子が知らないの? ウソ! 日本一のチームだよ。
鎌田 そう。市内の子も。北とか節政とか全然、知らないんだもん。
中原 え〜〜〜、JBLの看板選手だよ。選手はがっかりでしょ。
鎌田 まあ、会場に見に来ていないってことだよね。テレビも地上波はほとんどないし、目に触れる機会がないんだよ。日本一になったとはいえ、知名度はまだまだ。ホント、マメに顔を出して「試合を見に来て!」って直接宣伝しなければならないんだ。
中原 地道にやるしかないか。例えば、JR川崎駅のコンコースにあるオーロラビジョンで特集を流してもらうとか?
鎌田 あれは、民間企業が運営しているんだけど、川崎市でも放送枠があるので、お願いしてるところなんだ。
中原 そういえば、昨季優勝したとき、市内で優勝パレードをやるとか、話は出なかったの?
鎌田 なかったね。(サッカーの)フロンターレが優勝したらやるだろうね。
中原 何でバスケットはできないのかな。
鎌田 そこまで、川崎市のチームとして打ち出していないし、市としてもそこまでの位置付けじゃないんだろうね。「川崎ブレイブサンダース」という名前に変われば少しは違うかもね。
中原 じゃあ、ユニホームに市名を入れたら?
鎌田 実は、今年からパンツの右裾に「KAWASAKI」って入れるんだ。小さいからあまり目立たないかもしれないけど。
中原 いいことだよ。最初はそこから始まる。
鎌田 東芝は、川崎に体育館はあるんだけれど、横須賀もフランチャイズだし、横浜とか相模原とか、試合をやってもらっているところもある。だから神奈川全県に知ってもらえるように、広めていきたいとも思っている。神奈川を代表するチームとしてね。地域に根差したチームになっていくため、まずは川崎からスタートだ。
中原 神奈川県のバスケットボール熱は高いから、地元のチームとなれば応援熱も高まる。
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| 中原氏のファンサービス案に笑顔でこたえる鎌田監督 |
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鎌田 僕らは、同じ川崎市内にあったいすゞ自動車や、NKK(日本鋼管)が廃部になったのを目の当たりにしている。いすゞなんか、ものすごく地域貢献していたと思うんだよ。そんなチームがなくなっちゃうんだから。
試合会場でのファンサービスも重視
中原 試合会場に来てくれた人へのサービスなんかは考えてる? 例えば、優勝したら東芝の電化製品格安セールとか。
鎌田 プロ野球の優勝セールのようなものか。確かにそういうものがあると面白いよね。
中原 会場に複数回見にいった人には、東芝製品の割引があるとか。
鎌田 それもいいね。
中原 そういうところで、客を釣らないとな。アメリカなんて、先着何人にTシャツ配るとか、得点が100点超えたら全員にピザをプレゼントするとか、そんなんばっかりやってるけど、それで客は入るし、盛り上がる。東芝は昨季、セミファイナルでTシャツ配ってたけど、今季もやるの?
鎌田 あれは、伊藤俊亮の親父さんが私費で製作して配ってたんだよ。だから今年は、チームでたくさん作って、配ろうと思ってる。
中原 親の出費? それはあかん。チームで作らなければ。Tシャツとか配るんだったら、子供に着せたい親も多いから、キッズサイズも作っておいた方がええで。試合の前には「応援に来てくれた人には、もれなく特製Tシャツをプレゼントします」ってバーンと宣伝した方がいい。
鎌田 やっぱり、会場で見てもらわないと、本当の良さは伝わらないと思うんだよね。クリニックに行ったときは、参加した子供たちに宣伝して無料で入れるような制度を作ろうと思っている。その子たちが面白いと思ったらまた来るでしょ。最初は、お金をかけてでも、なるべく多くの人に見てもらいたい。ホームのゲームがいつも満員なら、選手もやりがいがあるし。
中原 選手は見られてナンボだからね。
鎌田 そう。そこで面白いゲーム、見られて恥ずかしくないゲームをするのは、われわれ現場の責任。
中原 また、会場でのファンサービスは、基本的にホームチーム主導でできるわけだから、サイン会もたくさんやったほうがいいんじゃない?
鎌田 そうそう、今年はなるべく多くやろうと思っている。
中原 新潟なんかは、必ずファンと触れ合ってるからね。だから、リピーターばっかりじゃない。サッカーのJリーグでも、試合前に時間を設けてサイン会してるチームもあるよ。
鎌田 そういった案をどんどん取り入れて、ファンとの交流を持っていきたいね。
今、大切なのは組織作り
中原 日本人選手は全員社員選手ということだけど。
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| 同期対談に満足そうな鎌田監督(右)と中原氏 |
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鎌田 みんな、普段は作業着を着ているんだよ。事務だけれどね。練習があるときは午前中勤務だけど、部署によっては残業する選手もいる。
中原 鎌田も社員?
鎌田 そう社員、サラリーマン。給料も、一般社員と一緒だよ(笑い)。スタッフとして残るかどうかは上の判断もある。また、ある年齢になると、バスケットボール部を離れることも考えなければいけない。その後のキャリアの方が長いから、ずっとここにいることはできない。
中原 え? 人事異動ってこと?
鎌田 そういうこと。まあ、JBLにプロ化の流れが出てきた今、重要だと考えるのは、プロとアマチュアのしっかりとした組織作り。一番上を単純にプロ化するのではなく、頂上にプロのトップリーグがあったら、その下にサテライトリーグやアマチュアのトップリーグ、さらにはジュニア層までつながっている構造。ヨーロッパのクラブチーム、日本でいえば、サッカーのJリーグのようなものかな。
中原 確かに。
鎌田 今は、ジュニア層は学校体育がメーンでやってるけど、クラブ組織ができてきてもいいよね。一貫指導は魅力。トップを経験している元選手から教えてもらうことは、子供たちには刺激になる。
中原 サッカーは、セカンドキャリアにも力を入れ始めてるよね。バスケットなんか、契約選手終わったら何にもない。実家継いでるのもいるし、普通の会社員やってるやつが多いかな。
鎌田 現役終わって、バスケット界で活躍してるのは中原ぐらいじゃない?
中原 よう言うわ。
鎌田 現役引退しても、バスケにかかわりたいと思ってるやつは多いでしょ。NPO法人を立ち上げて、自分たちで活動している人も出てきたけどね。
中原 何よりも、引退直後が1番、知名度のあるとき。そのときすぐに指導できる場、組織があるといいよね。バスケット界、たくさん構造改革しなくちゃならないことばかりだ。
◆鎌田光顕(かまた・みつのり)
1966年5月23日生まれ。東京都出身。明大中野高、日大を経て東芝入り。主にシューティングガードとして活躍。94年現役引退し、96年からアシスタントコーチ。03年からヘッドコーチ昇格し、昨季チームを5年ぶり2度目のスーパーリーグ優勝に導いた。187センチ。家族は妻、1男1女。
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◆チュー中原(本名・中原雄=なかはら・たけし)
1966年11月10日生まれ。福岡県出身。専大ヘッドコーチ。89年に専大からいすゞ自動車入り。主将として4連覇を達成した後、99年に退社後、母校専大アシスタントコーチに就任、04年4月からヘッドコーチを務める。大学史上初の全日本大学選手権、関東リーグ戦を制すなど指導力に定評があり、テレビ解説でも活躍中。愛称は「チュー」。
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