またもニュークイーンが誕生した。出場2回目、関東で唯一参戦の松本晶恵(29=群馬)が、巧みなイン先マイを決めた。G1初優勝、関東勢初のクライマックス優勝を飾った。2着には握って攻めた竹井奈美が入った。

 G1優出2回目の松本晶恵が、G1優勝戦初の1号艇の重圧を見事にはね返した。竹井奈美の2コース攻めをインから巧みに抑えて逃げ切った。「乗りにくさがあって緊張しました。でも、やっとゴールだと思ってホッとしました」。1周2Mを旋回した後に勝利は確信したが、ガッツポーズをする余裕はなかった。

 選出4位でトライアル1回戦は2号艇。得意の差しを決め、流れに乗った。2回の抽選も2、1号艇と幸運が巡ってきた。そのチャンスを、しっかりものにした。「ティアラをかぶって実感しました。うれしいのひと言です」。G1初優勝、初の賞金女王にも輝き、表彰式でやっと勝利をかみしめた。

 直前には初のSG住之江グランプリシリーズに参戦。5日目に初勝利を挙げ、水神祭を飾った。この刺激が今回の優勝につながった。「ハングリー精神が出てきたのかな。SGレースの参加が夢で、まさかG1も優勝できるとは…」。わずか1週間で2度の水神祭。「寒いけど喜んで飛び込みます」。同期の平山智加らの祝福を受け、水面へダイブした。

 座右の銘は「努力はうそをつかない」。調整や練習を繰り返し、地道な努力の積み重ねが実った。この優勝で17年3月のSG児島クラシックの権利を獲得。「また上の舞台で走って結果を出せるようにしたい。ボートレースは3周あるので、あきらめずに走りたい」。勝ってもおごらず、17年もひたむきな姿勢でレースに挑む。【窪寺伸行】

 ◆松本晶恵(まつもと・あきえ)1987年(昭62)6月3日、群馬県前橋市生まれ。98期生として06年5月の桐生でデビュー。12年6月の丸亀で初優勝を飾った。通算優勝は9回目。同期は平山智加、松田祐季、西村拓也ら。155センチ、46キロ、血液型A。