明日3日に多摩川ボートで開幕する開設61周年記念G1ウェイキーカップで、地元の長田頼宗(30=東京)が渾身(こんしん)のレースを見せる。

 多摩川では8月から出力低減エンジンが導入され、調整に苦労する選手が多い。周年は導入4節目。2節目にあたる8月14~19日の、地元選手がそろうお盆開催を優勝した長田は、仕上げの方向性をつかんだ。

 長田 回転を抑えてトルク感を出す方がいいと思う。どちらかというと、回転を上げて出足をつけるのが自分のタイプだが、臨機応変に対応したい。チルトも先入観にとらわれずに、調整した方がいいのでは。

 序盤は「手探り状態」だったが、徐々に自信が生まれ、優勝という最高の結果を出した。東京支部所属として与えられたあっせんが、大きなアドバンテージになった。

 長田 あの時期に多摩川で乗れたのは、本当に大きい。どんな感じで調整したらいいのか。それをつかめた気がするので、前検でエンジンが決まった時に、ゼロからではなくスタートできる。出力低減エンジンでのスタートも経験が強みになる。これらを周年でもしっかりと生かしたい。

 多摩川では今年6月の一般競走まで、周年を除く開催で9節連続優出を成し遂げた。風向きの把握などでスタートが難しいとされる水面で、しっかりと結果を出してきた。

 長田 確かにスタートは、他のボート場とは違う面がある。届く追い風、届かない追い風があって、吹く方向も微妙に変わる。そういった状況に慣れているのは、地元の有利さ。

 今年に入って戸田の地区選手権、三国の周年で優出を果たした。3月に行われた多摩川の周年では、惜しくも優出はならなかったが、後半に1着3回。悲観する内容ではない。G1タイトルは手が届く位置にある。

 長田 レースや整備でミスをたくさん重ねて、それが、今の糧になったと思う。あまりマイナス面を考えない、前向きな性格も良かったのでは。

 ひとつでも上の着順を目指しハンドルを握る。4よりも3、3よりも2。鋭いターンを武器に、決してあきらめないレースをする。周年を前に気合はMAXだ。

 長田 多摩川は本当のホームなので、思い入れは強い。ここでG1が優勝できれば最高。でも、結果を出さないと、って気合を入れ過ぎると、空回りする感じもある。今までの経験からそう思う。だから落ち着いてレースに臨みたい。空気の入れ方を少し変えてみたい。

 6月24日に30歳を迎えた。ボートレーサーのキャリアは12年で、干支はちょうど一回り。同じひつじ年に迎える大一番だ。

 長田 エンジンをしっかり仕上げて、譲れない気持ちで、でも、落ち着いて走りたい。結果を出したい。

 12年間の成長の軌跡。G1劇場の舞台で、長田がどんな演技を見せてくれるのか楽しみだ。