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インパクト飛ばなかった…衝撃2着

ディープインパクト(後方)を破って優勝したハーツクライ。ルメール騎手は観客席に向かってガッツポーズ(撮影・樫山晃生)
ディープインパクト(後方)を破って優勝したハーツクライ。ルメール騎手は観客席に向かいガッツポーズ(撮影・樫山晃生)
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<有馬記念>◇2005年12月25日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

 インパクトが負けた! 単勝1・3倍、断然の1番人気に支持された3冠馬ディープインパクト(牡3、栗東・池江泰郎)は、直線で抜け出したハーツクライに半馬身届かず2着に惜敗。デビューからの連勝記録は「7」でストップし、史上初となる無敗の有馬記念制覇はならなかった。年明けは厩舎で調整され、ひとたたきしてから4月30日の天皇賞・春(G1)を目指す。

 快挙達成を期待して集まった16万人が声を失った。ゴールの瞬間、時間が止まったかのような静寂がスタンドを包み込む。信じて疑わなかったディープインパクトの勝利は、ハーツクライの前に夢と消えた。  4コーナーでまくり気味に進出すると、声援は地響きとなってインパクトを後押しする。だが、平成の天馬は飛ばなかった。はじけなかった。坂の下で2馬身あった差を、半馬身まで詰めるのが精いっぱい。メンバー中最速の上がり3ハロン34秒6の末脚を繰り出したが、最後は脚が上がって左にモタれ、かわすことはできなかった。武豊騎手(36=フリー)は、左手を高々と振り上げ歓喜のガッツポーズをするルメールの姿を見送るしかなかった。そして無言のまま下馬し、愛馬の首をたたく。検量室に入り、調教を担当する池江敏行助手に「ごめん」とつぶやくだけだった。

 誰よりも快挙達成を信じて疑わなかった武は「残念です」の言葉を繰り返した。「今日は飛ばなかった。なぜなのか分からない。普通の走りができなかった。直線を向いてムチを入れたが伸びなかった。伸びなかったのは初めて。結果を出せなかったのは事実。自分の力の無さを感じたし、この馬の主戦騎手として責任を感じます」。言葉を選びながら、淡々とした口調。天才と称される男は、敗因を「己の未熟さ」とした。

 管理する池江泰郎師(64)は、愛馬の走りを見届けると足早に調教師室へ入った。インパクトが検量室前に戻ってくると、鼻をなで労をねぎらった。「連勝っていうのは難しいな。これが競馬なんや」。第一声は武と同じく淡々としたものだった。騎乗前のパドックでは、金子オーナーを交え武と入念に打ち合わせをした。「道中の位置取りなどについて話した。あの位置で申し分なかった。これが古馬との壁だろう」。差はないはずだった。むしろ、すでに越えているはずだった。だが埋めることのできない経験値が、半馬身差となって立ちはだかった。

 雪の影響を受け、追い切りと輸送の日程が二転三転。グランプリ制覇へ続く道は、いばらの道だった。「それは勝った馬も一緒だし、言い訳にはならない」と池江師は首を振った。

 04年12月19日から始まった連勝は、デビューから371日でストップ。来年の海外遠征計画は白紙に戻され、まずは天皇賞(春)を目指すことになった。このままでは終わらせない。雪辱、そしてさらなる飛躍を目指し、インパクトは前進を続ける。【高橋悟史】

[2005年12月26日 紙面から]

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