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馬の筋肉ほぐす「女神さまの手」

競走馬をマッサージする山縣真紀子さん
競走馬をマッサージする山縣真紀子さん

 馬も素手でマッサージを受けるって知っていますか? 日本ウマ科ヒーリング・マッサージ協会の山縣(やまがた)真紀子代表(57)は、精神的なリラクセーションを与える目的で、05年から馬にマッサージを施している。馬が施術中に目をトロンとさせて、舟をこぐしぐさはまさに人間と同じ。人間とのコミュニケーションを図る意味でもプラスに働くとみられており、「女神さまの手」が活躍の一端を握っている。

 まだあまり知られていない、馬のマッサージ。整体師も含めて、現在4人が東西トレセンに出入りしている。器具を使っての施術もあるが、山縣さんは素手で行う。精神的リラクセーションを与え、硬くなった筋肉を柔らかくすることが目的だ。桜花賞3着カタマチボタン、フローラS2着ミンティエアーなどの重賞活躍馬も施しを受けている。

 マッサージを始めたきっかけは「馬に恩返しがしたい」という思いだった。7歳のときに乗馬を始め、14歳で全日本馬術大会に初出場。中障害(高さ130センチ前後の障害を飛越する種目)で当時最年少での3位入賞を果たし、その後は73年千葉国体など数々の大会で優勝、入賞を重ねた。

 そして、競技引退後の01年。新聞の新刊紹介で、動物のマッサージについて書かれた本を目にした。「自分も何かできないか」。03年には、馬体学および馬へのマッサージ法(実技)を受講するため米国オハイオ州へ飛び立ち、帰国後に馬のマッサージを始めた。

 トレセンへの出入りが許可されたのは05年。「当初は『何、この人?』みたいに見られていた」と振り返る。だが、ある厩舎でデモンストレーションを行ってから少しずつ理解されるようになった。1頭につき約1時間半。通常は追い切り後に施術するが、定期的に行う馬もいるため牧場へも出向く。最初は首のあたりをさすり、速さを変え、手の甲を使ったりもする。10分もすると、あくびをしたり、馬っ気を出したり。痛い部分なのか、触れていてビクンと反応することもある。そのしぐさは、まさに人間さながらだ。素手で触ることでコミュニケーションを図り、人間への警戒心を解く効果も期待される。

 効果は目に見えるものでないため、賛否両論があることも確か。だが、マッサージの後にまたがった騎乗者は「背中が柔らかくなった」と言う。「スタッフの一員だから」と、厩舎に自由に出入りすることを許可している調教師もいる。1週間で35頭もの馬をマッサージすることもあった。指も、腕も、肩もパンパンになる。「好きじゃなきゃ、できないわね」。女神のようにほほ笑みながら、山縣さんは今日も馬の健康を支え続ける。【和田美保】

 [2008年3月11日8時30分 紙面から]


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