女王スカーレット男ナデ斬りV/有馬記念
<有馬記念>◇28日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走14頭
強い。強すぎる! 1番人気ダイワスカーレット(牝4、栗東・松田国)が華麗なる逃げ切りを決め、牝馬として71年トウメイ以来37年ぶり4頭目のグランプリホースとなった。松田国英師(58)は来年の目標を海外3勝とぶち上げた。2着に最低人気アドマイヤモナーク、3着に10番人気エアシェイディが入り、3連単98万5580円はレース史上最高配当となった。
力が違いすぎた。完勝だった。直線、右ムチが何発も入る。そのたびにダイワスカーレットはグングンと加速する。後続をあざわらうかのように一気に退けていった。もう誰にも止められない。2分31秒の間、先頭に立ち続け、頂点に立った。「正直、力で押し切った。この馬の強さがあらためてわかったと思う」。安藤勝は勝って当然のように言った。暮れの中山は彼女の独り舞台になった。
連続12連対記録は、ディープインパクトやエルコンドルパサーなど伝説の名馬を超えた。71年トウメイ以来となる牝馬の優勝。37年の時をも超えた。「強い馬です。今日の状態なら自分のペースで行けば何とかしてくれると思った。この馬の強さが見せられてよかった」。あん上が見せた晴れ晴れとした顔は、勝ち負けよりも、馬の強さを誇示できた安堵(あんど)の表情に見えた。
他馬が詰め寄ってきた4角も一抹の不安すら感じなかった。「早く動いてきたなと思ったが、追い掛けてきたら止まるんじゃない? これで差されたら仕方ない」。楽にハナを奪えるスピードに直線でもうひと伸びできる末脚。人馬のリズムがかみ合った走り。女王を前に、他馬はひれ伏すしかなかった。
天皇賞(秋)では宿敵ウオッカに2センチ差の敗戦。歴史的一戦に誰もが「負けて強し」のレースという評価を与えた。だが、主戦だけは違った。「リズムがなっとらんかった。ひどいレースになったなというのが大きかった」。テンションが高く、馬とのリズムがかみ合わない。ジョッキーには完全燃焼できなかった悔しさだけが残った。陣営は激走の疲れを癒やすと同時に、牝馬特有の気持ちの高ぶりを抑えるため馬場入りの練習から始めた。この日の馬場入場では誘導馬の真後ろにぴたりとつけた。テンションを上げないための作戦。跳びはねるように出た返し馬や、ゲート入り前のいれ込みにファンはざわついたが「前走とはパドックから全然違った。安心して競馬に行ける」。すでに勝利を確信していたと言っていい。
松田国師からは来年の海外G1挑戦が発表された。海外でウオッカと再戦の可能性もある。もう日本に敵は存在しない。安藤勝はあらためてこの馬の強さを評した。「しなやかにスピードに乗って最後に伸びる。素晴らしい馬」。09年、スカーレットは完全無欠の女王として世界へ旅立つ。【山本幸史】
[2008年12月29日7時56分 紙面から]
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