小さな巨人ジャーニー本命一蹴/宝塚記念
<宝塚記念>◇28日=阪神◇G1◇芝2200メートル◇3歳上◇出走14頭
小さな巨人が大本命馬をねじ伏せた。2番人気ドリームジャーニー(牡5、栗東・池江泰寿)が豪快な末脚で直線突き抜け、06年朝日杯FS以来2年半ぶりにG1を制した。424キロでのG1勝利は、日本牡馬最軽量(2歳戦除く)。池添謙一騎手(29)は区切りのG1・10勝目を挙げた。2着にはサクラメガワンダーが入り、3着に終わったディープスカイの凱旋門賞挑戦は消滅した。
「これならかわせる!」。直線を向いて池添は確信した。かつて折り合いに苦心したドリームジャーニーはもういなかった。424キロの小さな体を躍らせ、終始マークしていたディープスカイに外から猛然と襲い掛かる。右ステッキの連打にピッチ走法の回転数が一気に上がる。516キロの巨漢を、小兵が豪快にねじ伏せた。最後は目の覚めるような末脚。「並ぶ間もなかった。本当に速かった」。朝日杯FS以来931日ぶりのG1・2勝目。一瞬の切れ味で本命馬を一蹴した。
検量室前に引き揚げてきたジョッキーは「よっしゃー!」と雄たけびを上げ、喜ぶスタッフに両腕を突き上げて応えた。昨年の安田記念から手綱を託されて迎えたG1・5戦目。もう負けられなかった。「厩舎の期待に応えることができてホッとしているし、力を出し切ったジャーニーに感謝している」と息をついた。この中間は暇があれば携帯電話で天気予報をチェック。この日は生まれたばかりの長女を初めて競馬場に連れてきた。良馬場なら勝てる自信があった。「僕にとって大きな勝負どころだと思っていた。馬も本当に強くなっていて、今日G1が取れて恩が返せた」と安堵(あんど)の表情を見せた。
陣営の執念が実った。早い段階から今春最大の目標をこのレースに定めた。馬の心身の成長が、今年に入って直前調教の強化を可能にした。レース後にウオーキングマシンで疲れを抜く調整法に変え、カイバにも手を加えて体重の変動を抑えた。内または筋肉ではち切れそうなほどまで充実した。一方、池添は馬との呼吸を合わせることに専念してきた。その成果が天皇賞(春)参戦の進言。「どういうふうに抑えたらいいか分かってきていたから。3200メートルは我慢のレースだった。でも今日は1000メートル短くて僕自身も気楽だったし、馬もリラックスして走れた」。
トレーナーからは天皇賞(秋)への参戦と香港遠征のプランが明らかにされた。昨年選出されなかった香港ヴァーズで、ステイゴールドに続く父子制覇の可能性が膨らむ。中距離界の主役として、夢の旅路はまだ始まったばかりだ。【山本幸史】
[2009年6月29日8時5分 紙面から]
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