オグリやテイオーも癒された馬の温泉
温泉が恋しくなるこの季節、競走馬も温泉に入ることを知っていますか? JRA競走馬総合研究所常磐支所(福島県いわき市)では、主に屈腱(けん)炎や骨折をはじめとする故障を抱えた馬たちのリハビリテーションプログラムの一環として温泉療法を取り入れている。現在はカジノドライヴ(牡5、藤沢和)サクラメガワンダー(牡7、栗東・友道)などが在厩。重度の疾患で長期休養を余儀なくされた馬が、温泉効果で復帰を目指す。
温泉(40~42度)に入っている馬は数分もしないうちに目がトロンとして、あくびを始めた。「ハアア~極楽、極楽」とでも言ってるかのような表情で、とても気持ちが良さそうだ。お湯は湯本の源泉掛け流し。心臓に負担をかけすぎないように、湯量は脚の付け根あたりまでに制限。背中にはシャワーが当たる工夫がされている。
JRA競走馬総合研究所常磐支所は、63年5月に設立。敷地総面積(16万7389平方メートル)は東京ドーム約4個分の広さ。過去にはトウカイテイオーや、オグリキャップも訪れた。額田(ぬかだ)紀雄所長(42)は「まだ生産頭数が少なかった時代に、いかに疲労を回復させて回転数を上げるかを考え、温泉に目をつけたようです。湯本は湯量も豊富で筋肉痛や関節炎に効果があるので」と話す。昔は厩務員が馬を連れてきて数週間、人馬とも温泉で疲れを癒やしたこともあった。
温泉療法の効果は数字にも表れている。リラックスしている時は、副交感神経が活性化する。その数値を心電図で比べたところ、温泉に入っていない時が120だったのに対し、温泉につかると200に上昇。回復させる力がより働いているのが分かる。また、段階によっては温泉の前後にウオーキングマシンや、ウオータートレッドミルを取り入れる。この冷→温を繰り返すことで、血流や代謝を良くする。「温泉はもちろんですが、この環境でリラックスする馬が多いようです。リハビリは少しずつ負荷をかけ、長い時間かけて行うことが重要。日々、落ち着いた状態で行えることが回復につながっていきます」と同所長。
これまで療養した馬は約2700頭。屈腱炎や骨折から復帰し、G1で活躍している馬も少なくない。温泉療養が、競走馬生命の一端をになっている。【和田美保】
[2010年2月2日8時2分 紙面から]
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