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皐月賞馬ヴィクトリー大変身/神戸新聞杯

岩田騎手を背に坂路52秒7の好時計をマークしたヴィクトリー(右)
岩田騎手を背に坂路52秒7の好時計をマークしたヴィクトリー(右)

 問題児が夏を越して優等生に大変身した。菊花賞トライアルの神戸新聞杯(G2、芝2400メートル、23日=阪神)で秋初戦を迎える皐月賞馬ヴィクトリー(牡3、栗東・音無)が、春はまともにできなかった併せ馬で52秒7-12秒6の好時計をマーク。音無秀孝師(53)も大満足の追い切りで、菊取りに発進する。

 春のヴィクトリーしか知らない者は目を疑った。まともな追い切りができなかった問題児が、見事な併せ馬を行ってみせたのだ。坂路で先行したラッキーブレイク(古馬オープン)の真後ろを追走。騎乗した岩田の指示が出るまでじっと我慢する。とてもダービーの1コーナーで暴走し、前の馬を次々と抜き去った前歴があるとは思えない。残り300メートルで外に持ち出されると、ゴーサインを待っていたかのようにエンジン点火。鋭く伸びて2馬身先着した。春はスタート地点でごねたり尻っ跳ねしていた皐月賞馬が、夏を越して鮮やかに優等生に変身した。時計は52秒7-38秒7-25秒4-12秒6。「春とは180度違う調教をこなしてくれている。全体が52秒台で12秒台で上がってくるなんて、春はとても考えられなかった。岩田君と話し合った通りの調教ができて、すごく満足している」と音無師も笑みが絶えない。速い時計が出せない分を補ったプール調教も、もう必要がなくなった。

 リニューアルは、夏の放牧先のノーザンファームから始まった。メンコで音を遮断して落ち着かせ、岩田が可能な限り駆け付けてけいこをつけた。馬は徐々に従順になり、これらの工夫は栗東に帰厩してからも続けられた。横に馬体を並べたり、馬の後ろに入れたり、前に2頭置いたりとさまざまな組み合わせの調教をこなしてきた。折り合いを覚えることによって、もともと持っている高い能力をMAXに発揮できる。「皐月賞やダービーのようなレースにはならないと思う」。もはや逃げ馬ではない。好位差しが可能な下地はつくられた。

 レース当日は春できなかった返し馬もやる予定。「血統はステイヤー。距離は心配していない。ヴィクトリーの違った姿を見ていただきたい」。人事を尽くしたトレーナーの言葉には、力がこもっていた。【岡山俊明】

[2007年9月21日8時42分 紙面から]

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