<リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権:日本3-2韓国>◇決勝◇1月30日◇ドーハ

 代表は勝つことが第一だから、16年は最高のスタートが切れた。ただ劇的勝利という結果で、内容を錯覚してはいけない。65分間は大人と子供の試合だった。日本のプレスはかからず、韓国にパスを回されまくって、よく2点で収まったというのが率直な感想だ。創造的なプレーもなく、10年W杯南ア大会で岡田監督がやったどん引きカウンターサッカーを思い出した。

 浅野の活躍にしても采配ではなくラッキーな側面が大きい。(鈴木)武蔵が故障で使えず、南野が所属クラブへ戻ったため、どうしようもなくなって投入したFWが当たってしまった。日本への対抗心からか韓国が3点目を取りにきたことも日本に有利に働いた。相手が試合巧者で守備ブロックを敷いて守られていれば、反撃の余地はなかった。

 このU-23代表には、A代表で定位置を奪える選手はいない。強いて言えばA代表のGK3人に櫛引が入るかどうか。久保、南野の海外組は、J2所属の矢島や豊川らとの違いを見せることはできず、チーム内競争のレベルの低さも感じた。行くだけでなく、本気で五輪のメダル獲得を考えるなら、オーバーエージ枠使用を含め、もう1度厳しい目でチーム作りを見直さないといけない。(日刊スポーツ評論家)