「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10が1日、都内のホテルで発表されました。

 年間大賞はプロ野球広島から「神ってる」。残念ながら、サッカー界からは長友佑都選手の「(僕の)アモーレ」がランクインしただけ。昨年もプロ野球界から「トリプルスリー」が年間大賞に輝いています。どうやら、審査員の方々は、野球がお好きなようです。

 6月に「アモーレ」が生まれたのは、日本代表が練習したJリーグ名古屋の練習場でした。そんなパワースポットで日々練習した、名古屋のJ2降格はまた別の機会に記したいのですが、今年のスポーツ界で本当に「神っていた」のはW杯アジア最終予選イラク戦で劇的な決勝弾を決めた、山口蛍選手だと思うのです。

 というわけで、勝手にサッカー界、その総本山で日本協会やJリーグが入る東京・文京区のビル・JFAハウス付近から2016年の独断と偏見による「新語・流行語」をお届けしたいと思います。

 年間大賞は、日本代表ハリルホジッチ監督と樋渡群通訳の「ナイーブ(=ばか正直)」を勝手に推しましょう。6月のキリン杯決勝で母国のボスニア・ヘルツェゴビナに完敗。稚拙な試合運びに「我々のチームは、ナイーブ(ばか正直)だ」と連呼し、選手にずる賢いやり方を求めました。

 本来のフランス語の意味を、よりサッカーに落とし込んで意訳した樋渡通訳の好アシスト! と思ったのですが…、私の期待ほど浸透しませんでした。

 そういえば、ハリル語録の代表格「デュエル」(フランス語の決闘を意味する言葉で、転じて競り合いを意味する)も浸透には時間がかかっています。ハリル語録は即効性というより、じっくり長く効く、味わいがあると信じて次にいきましょう。

 トップ10には西野朗技術委員長の「ランしている」が勝手にランクインです。これは、サッカー界で最もダンディーなあの名将の西野語録で「(組織が)進行している」の意味です。

 常勝の監督時代も勝ち点3を「ポイントスリー」と表現されていました。独特の感性と表現力から生まれ出る、重みのあるフレーズです。

 その裏には、ハリル体制の途中で技術委員長の要職に就任したことで、同監督や現場がすでに「ランしている」ため、自身の介入を最小限にしようとする、監督経験者だからこその気遣いがあることを見逃すわけにはいきません。

 来年のU-20(20歳以下)W杯出場権を獲得し、アジア・サッカー連盟(AFC)の年間表彰で、アジアでも3本の指に入る男子チームの監督として認められたU-19日本代表の内山篤監督の内山語録も、期待を込めて勝手にランクインです。

 「オン」「オフ」。スイッチや仕事とプライベートのことではなく、この「オン」=「オンザボール(ボールを持っている時)」。「オフ」=「オフザボール(ボールを持っていない時)」の略語でした。

 知らずに聞いて、前後の言葉を見直し理解したこの言葉は、飛び級で抜てきしたFW久保建英(たけふさ)選手を評し、大きな期待について語った時に飛び出したものです。

 冗談はさておき、来年2017年はその久保選手が、年代別のW杯で世界デビューすることが濃厚です。1年後に「久保建英」が、年末の「ユーキャン新語・流行語大賞」で大賞を獲得するようなことがあれば、サッカー界は明るく素晴らしい1年になるのですが、果たして…。

 少し早いですが、みなさん、どうかよいお年をお迎え下さい。来年も、どうぞよろしくお願い致します。【八反誠】


 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。名古屋でアマチュア野球や一般スポーツを担当し、06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本協会などを担当。