【エドモントン(カナダ)24日(日本時間25日)=鎌田直秀】なでしこジャパン佐々木則夫監督(57)が、右肩を脱臼していたGK山根恵里奈(24)の出場にGOサインを出した。27日(同28日)の準々決勝オーストラリア戦での起用を示唆。前日のオランダ戦後、選手取材を強制終了させるなど、次戦へ中3日の日程や、選手の体調管理に過敏になっていた指揮官の不安が1つ解消された。

 オーストラリア戦に向けて、エドモントンに移動した佐々木監督の表情が、GKの話題になると一気に緩んだ。「次は山根がいけます。(脱臼は)右肩です。1週間ちょっと前の練習でやったので、もうプレーできます」。本来は決勝トーナメントでは山根を起用予定も、連覇に向けた先を見据えて万全を期した。代役の海堀は好セーブを見せたものの、試合終了間際にミスで失点。4強進出へ山根起用を示唆した。

 前日のオランダ戦後、取材エリアにバスから戻り、選手取材を強制終了させる異例の行為に出た指揮官は、重圧を感じている胸の内を明かした。「日本の皆さんも、ここまで勝つのも、次に勝つのも当たり前と思っている。オランダ戦も負けるわけにはいかないというプレッシャーがありましたから」。今大会4戦はいずれもW杯初出場国との対戦。そして次はアジア勢。「次のオーストラリアだって意外に厳しいのよ。(優勝候補の)フランスとかとやるほうが、よっぽど楽」と苦笑いした。

 加えて日本は、相手の中5日に対し、中3日の調整期間。相手はエドモントンで試合経験があるが、日本は今大会初。さらにオーストラリアの今大会での成長度合いに「米国、スウェーデン、ナイジェリア、ブラジルと強い国とばかり対戦して勝利も経験。アジアの大会での彼女たちよりも成長している」と脅威を感じている。

 「今日も早く宿舎に戻って、練習しないといけないのでスミマセン」。指揮官はバスで待つ選手たちのもとに急いだ。バンクーバー空港出発時には山根と並んで歩き「お前、あんなのがあった方が楽だろ」と旅行用首枕を指さして、空路移動を気遣った。連覇へ、あと3戦。身長187センチの守護神に次戦を託しそうだ。