【マナマ(バーレーン)=25日】岡田ジャパンがW杯アジア3次予選の最大のヤマ場を、エース不在で臨むことになった。右太もも裏の違和感を訴えていたFW高原直泰(28=浦和)がバーレーン戦前日に現地の病院でMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けて右太もも裏筋挫傷と診断され、メディカルスタッフの判断で欠場が決定した。代役にはFW巻誠一郎(27=千葉)が濃厚。アウェーでの同組最強の敵との試合で、日本代表が窮地に陥った。

 決戦前日の公式練習を、岡田監督は少し離れた場所から見守った。終始何か考え込んでいるようだった。時折、動かした視線の先には、別メニューをこなす高原の姿があった。練習後に「少々けが人は出たが、こういうことはよくあること。(欠場で)非常に不安だということはない」と気丈に話したが、W杯アジア3次予選の最大のヤマ場で、しかも決戦前日のエースの離脱。チームに与える影響も小さくはなかった。

 24日の練習で高原が右太もも裏に違和感を訴えた。大事をとって軽いランニングに切り替えたが、この日の午前中にマナマ市内の病院でMRI検査を受け、患部の右太もも裏に腫れが確認された。「無理をすれば出場も可能だったが、大きなけがにつながる恐れがある」とメディカルスタッフが判断。ベンチ外が決定した。前日練習後、高原は「大丈夫です」とだけ話し、足早にバスに乗り込んだ。

 エースの不在で中東の厳しいアウェー戦がさらに過酷さを増した。今合宿では高原と大久保を同部屋にするなど、常にコンビを組ませ続けた。FIFAランク82位の格下に「相手のやり方は90%以上確信を持って、こうやってくるだろうと思っている」と、相手の出方を把握した上で、チーム作りを進めてきた。それが主軸の離脱で2トップもぶっつけ本番になった。

 FW玉田も24日の練習で左内転筋に違和感を訴えるなど万全ではない。しかし、もう決戦まで時間はない。「代わりにたくさん選手はいます。巻、玉田、田代、大久保。いくらでも手はある」と指揮官。名前を挙げられたFW4人は居残りでシュート練習を決行した。日本の期待と重圧、そして高原の無念の思いも背負う。「もちろん負けにいくつもりもない」(岡田監督)。岡田ジャパンが、厳しいアウェーで正念場を迎える。【栗田成芳】