岡田ジャパン最年少のMF香川真司(19=C大阪)が「緊急出動」でいきなり魅せた。日本代表は22日、名古屋市内で練習。この日から合流した香川は、DF安田の左太もも裏痛に伴い、紅白戦の途中から左サイドバックで出場した。MF松井(サンテティエンヌ)を華麗なフェイントでかわすなど、物おじしない若武者は自分の存在を強烈にアピールした。

 初めて対戦する欧州組が相手でも、全くひるまなかった。パスを受けたところに、松井が背後から体を寄せてきた。香川は気配を察知すると、ポーンとボールを浮かせて松井の頭上を越し、鮮やかに抜き去った。平成生まれのファンタジスタが、能力の片りんを見せつけた。

 「対面にいるのが松井さんで、世界的な選手だったから。僕は1つ1つのプレーでアピールしなきゃいけない立場だから」。相手が大きいほど、アピールの効果はある。やられた松井は「あまり覚えてないです」と苦笑いしたが、06年にC大阪で先輩だったFW大久保は「いいものは持ってるよね」と認めた。

 緊急出動だった。前日のJ2ナイターで福岡戦にフル出場し、PKを獲得して勝利に貢献した。疲れを考慮され、当初は別メニューのはずだった。ピッチ脇で紅白戦を見ていたが、安田がアクシデントで離脱。急きょ声がかかり、サブ組の左SBに入った。それでも「若いんで大丈夫。逆に体は軽かった」。わずか15分程度の出場で、代表生き残りに1歩前進した。

 4月の候補合宿でA代表を経験し、「思ったより緊張しなかった」と言う。この日は名古屋市内の宿舎に着くと、前回の候補合宿でも一緒だったDF長友の部屋のドアをたたき「お久しぶりです」とあいさつ。ミーティングでは、初対面のMF遠藤らにもあいさつした。紅白戦では両手を広げてパスを要求した。「候補」の肩書が取れた初代表の初日。魅力満載の19歳が、コートジボワール戦でA代表デビューする可能性が出てきた。【北村泰彦】