日本代表FW高原直泰(28=浦和)が、復活に向けてオフ返上のコンディション調整を行った。28日、W杯アジア3次予選に臨む日本代表メンバー25人が発表。29日に控える代表再合流前の貴重なオフだったが、高原は浦和の練習場に姿を見せ、ランニングなどで汗を流した。27日のキリン杯パラグアイ戦後、日本代表岡田監督に復活を待ち続けることを宣言された、不振のエースが指揮官の期待に応えるため、精力的に動いた。

 W杯アジア3次予選直前の最後のオフも、動かずにはいられなかった。浦和の午前練習に合わせてクラブハウスに姿をみせた高原はチームメートが練習するピッチへ向かった。腕組みするエンゲルス監督と並ぶと、両手を腰に当てながら約15分間の意見交換。1度は帰ったが、午後練習にも再びクラブハウスを訪問。今度はコンディションを整えるように芝の上で精力的なランニングを続けた。

 異例となるオフ返上の2部調整だった。同じく代表選出され、クラブハウスを訪問したチームメートのDF闘莉王、MF鈴木は室内調整に専念。ピッチ上でランニングまでこなしたのは高原1人だけだった。キリン杯では2戦連続でスタメン落ち、今季代表戦は4試合出場で0点。所属先の浦和でもリーグ戦11試合出場で2得点のみと、結果が出ていない。調整後は「いや、今日は何も。(オフなので)すみません」と言葉少なだったが、誰よりも悔しい思いをしている複雑な気持ちを発散するような行動でもあった。

 指揮官の期待も痛いほど分かっている。27日のパラグアイ戦後、岡田監督は「彼(高原)本来の力を取り戻すことは我々にとって重要なこと。その意味で我々には忍耐が必要だ。マスコミのみなさんにも忍耐を持ってもらいたい」と異例の発言を残した。同戦の後半25分にトラップミスで決定機を逃した反省もある高原にとっては何よりの猛ゲキだったはず。不振のエースは現状打破のきっかけをつかみたかったに違いない。

 29日には再び代表合流する。常に「FWは点とってナンボ。結果(得点奪取)がすべて」と宣言する高原が、オフ返上のコンディション調整で復活の足がかりをつかめるか。キリン杯は2試合でわずか1点と、代表も得点力不足に苦しんでいる。絶対に落とせないアジアの戦いを勝ち抜くには、エースの復活が欠かせない。【藤中栄二】