【バンコク(タイ)11日】日本代表のMF香川真司(19=C大阪)が、14日のW杯アジア3次予選タイ戦で代表初先発することが濃厚になった。右足首痛のMF中村俊に加え、MF松井も故障を抱えていることが判明。現地で非公開調整を行ったこの日、実戦練習で主力組に入ったもようだ。19歳89日でのW杯予選先発は80年スペイン大会予選の風間八宏氏の19歳67日に続く史上2番目の若さ。エースFW大久保も出場停止で攻撃陣は手薄。ドリブル突破が持ち味の19歳が、秘密兵器として最終予選進出への道を切り開く。

 最年少19歳に、ビッグチャンスが訪れた。関係者によると非公開で行われた試合形式の練習で、香川が先発組に入ったもようだ。中村俊に加え、松井も故障を発症し出場が微妙。大久保も不在で攻撃陣が手薄なため、岡田監督はFWに近い位置で香川をテストした可能性が高い。スコールがやみ、蒸し暑くなった練習場で、決戦に向けた準備を着々と進めていった。

 香川

 出番があればしっかりと自分のプレーを出すだけです。最初に点を取れれば、楽になる。運動量を増やして動き回りたい。

 19歳89日でのW杯予選先発は、風間氏に続く史上2番目の若さ。93年のJ発足後は最年少になる。A代表の出場はいずれも途中出場した5月24日のキリン杯コートジボワール戦、6月2日のW杯アジア3次予選オマーン戦の計33分間だけ。さらに主戦場はJ2のため、タイには香川に関する情報はほとんどない。まさに秘密兵器だ。4-1で大勝した2月6日タイ戦はC大阪の寮でテレビ観戦。当時は自分が日の丸のユニホームを着てW杯予選に出ることなど、想像もしていなかった。

 劣悪なピッチも経験済みだ。06年6月にU-19(19歳以下)代表としてタイ遠征に参加。当時は年齢別代表でも主力ではなく、追加招集だったため「あの時は何もできなかった。でもタイの雰囲気は知っているので反省を生かしたい」。凹凸の激しいグラウンドでは華麗なパスサッカーは難しく、持ち味のドリブル突破が生きてくる。

 敵地のタイ戦は66年の勝利以来、1敗2分けと3戦未勝利。格下とはいえアウェーでは決して楽な戦いではない。「出番を与えてもらえるなら下手なプレーはできない。責任を持ってやりたいです」。平成生まれの新星が、最終予選進出の切り札として決戦のピッチへと向かう。【益子浩一】