日本代表イレブンがいきなりバーレーン相手の「奥の手」を試した。右サイドから上がったボールに対し、FW2人が同時にニアに走り込む。逆サイドがポッカリと空くと、2列目から今野が、逆サイドから遠藤が猛烈なスピードで走り込んできた。そして、フリーの遠藤が右足シュートでネットを揺らした。

 3次予選で、当初格下と思われたバーレーンに1勝1敗と苦戦した。予想以上に相手3バックが屈強で高さもあったため、対応に戸惑った。「普通にクロスを入れても効果はなかった」。3次予選バーレーン戦に2試合とも出場したFW巻が振り返る。日本の生命線でもあるサイドからの攻撃をことごとくはね返され、逆襲を食らった。

 クロスに対し、2トップはニアとファーに交差して入り込むのが定石。だが、アドナン(194センチ)マルズーキ(184センチ)フセイン(180センチ)の「バーレーン山脈」には通用しなかった。そのためこの日、「もう1枚、もう2枚」のゴールゲッターを前線に進入させる動きを繰り返した。「自分がDFの間にうまく入って、ああいう形をつくるとかで工夫してやらないと、相手は崩れない」。巻が狙いを説明した。

 当然、この作戦は相手にボールを取られたときのリスクは大きい。前線に入ったサイドと2列目の選手が戻りきれないことも想定できる。FW玉田は「何が何でも勝つということ。全員が同じ気持ちでやることが大事だから」。バーレーン山脈を崩して点を取らない限り、勝ち点3は見えてこない。【盧載鎭】