環境が悪くても、世界と戦える!

 今夏の北京五輪女子サッカーで日本代表「なでしこジャパン」を史上最高の4位に導いた佐々木則夫監督(50)が12日、出身地の山形県尾花沢市を訪れ、尾花沢中で講演。代表選手が仕事や学業と掛け持ちする現状に触れ、「いい環境じゃない選手も、一生懸命やっている」と話し、あきらめないことの大切さを訴えた。

 小2まで過ごした山形県尾花沢市。佐々木監督は、出身地の中学生約250人に、熱く語りかけた。「なでしこジャパンには、いい環境じゃない選手もいる。サッカーができる喜びを感じながら、一生懸命プレーしている。だからあきらめずに、ゴールを目指すことができた」。0―2から2得点して引き分けた1次リーグのニュージーランド戦を振り返り、メンタル面の強さを勝因に挙げた。

 この日の講演相手は、中学生。分かりやすい話題にすることにも気を配った。「サッカーのプロ選手になるために、いいクラブチームに入るとか、東京に行かなきゃいけないとか、そういうことは大切ではない。どこだって練習はできる。どんな環境でも、自分を磨くことができるんだ」。自らの環境にこだわらず、勉強や日々の生活に取り組む必要性を説いた。

 約15分と短い講演時間だったが、生徒たちは真剣に耳を傾けていた。星川結衣さん(3年)は「なでしこジャパンは、選手と監督が信頼し合って、いいチームワークだった。私も高校で運動部に入ったら、参考にしたい」と話した。サッカー部員からは「日本男子の五輪代表監督もやってほしい」と注文されるなど、佐々木監督の人気は上々だった。「五輪代表チームで一生懸命やってきて良かった。うれしい限り。故郷は懐かしいし、温かさがあるね」と笑顔を見せていた。【柴田寛人】