なでしこジャパンの女子W杯優勝という偉業が、国際サッカー連盟(FIFA)をも動かした。日本サッカー協会の小倉純二会長(73)が18日、明らかにした。女子日本代表が魅力的なサッカーでW杯ドイツ大会を制したことで、FIFA内で女子サッカーへの評価が高騰。同会長によると「なでしこ効果」で、ドイツ大会終了後にブラッターFIFA会長が話した次回2015年女子W杯カナダ大会からの出場国増に加え、新たに賞金総額大幅アップが実現する見通しだという。

 女子W杯優勝というなでしこジャパンの偉業が、ついにFIFAを動かした。小倉会長はこの日、都内で「FOOT×BRAIN」(テレビ東京系列、毎週土曜午後11時55分~)の収録後「なでしこジャパンが優勝したことで、FIFA内で次回(カナダ大会)から賞金を大幅アップし、出場国を24カ国に増やすことになると思う」と明言した。

 FIFA内部では、近年の女子サッカー界は米国、ドイツ、ブラジルの「寡占市場」と化しているイメージが色濃かった。だが、なでしこジャパンがドイツ大会準々決勝でドイツの3連覇を阻み、決勝では世界ランク1位の米国をPK戦で撃破。小倉会長によると「なでしこが優勝し、世界のレベルの差がなくなっているとFIFA内で判断された。日本が勝ち、女子サッカーが『面白い』という評価に変わった」という。

 ドイツ大会の賞金総額は予想以上の収益があり、予定より240万ドル多い1000万ドル(約8億円)に増額。優勝賞金も100万ドル(約8000万円)からやや増えたとみられる。それが次回大会は賞金総額が10億円超えする可能性が大。男子の10年W杯南アフリカ大会の優勝賞金3000万ドル(当時のレートで約26億4000万円)には及ばないものの、女子の優勝賞金も大幅アップするはずだ。

 ドイツ大会後にブラッターFIFA会長が「次回大会から出場国を16から24に増やす」と話したが、小倉会長によると「ブラッター会長が近々、FIFA女子委員会にそれらの意見を諮ると思う」と断言。出場国が増えると次回大会の開催国カナダの会場数や予算の問題が浮上するものの、FIFA内部では実現する方向で動いている。

 小倉会長はなでしこジャパンの国民栄誉賞受賞について「本当にありがたい。(初めて)団体がもらえたわけだから」と話していたが、なでしこ旋風は世界の女子サッカー界にさえ変革をもたらしている。【菅家大輔】