【パリ9日=益子浩一、栗田成芳】日本代表MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)がピンチに陥った。右ふくらはぎ痛のため、初日に続いて別メニューで調整。練習場には姿を見せたものの、合流することなく1人先に会場を離れた。フランス戦(12日)ブラジル戦(16日)に、万全の状態で臨めない可能性が出てきた。

 唇をかみしめた。練習場から聞こえるかけ声を背に、本田がスタジアムを後にした。ゆっくりと、リュックを肩にかけ歩を進めた。右足に負担がかからないように。1人、車に乗り込んで、スタッフの運転で宿舎へ帰った。協会関係者は「ジムで調整する」と説明。初日に続き、右ふくらはぎ痛のため練習を回避した。日本代表の練習はトップ下を担う中核を欠いたまま続けられた。

 30分間にわたり、深刻な状況をにおわせた。練習場に足を踏み入れたものの、終始患部を気にするそぶり。ウオーキングとストレッチ、2本の軽いジョギングで早々とメニューは終了した。ピッチ上で柳田ドクターと早川トレーナーと話し合った際には、首を横に振るシーンも。その直後、下を向いたまま、練習場から退いた。

 協会関係者によると、先週のCSKAモスクワでの練習中に負傷したという。それでも7日のスパルタク・モスクワ戦に出場。クラブ通算1000得点目までマークした。強行出場により悪化させた可能性が高い。パリ到着直後には、コンディションについて「(試合から)昨日の今日なんでね…」と濁していたのは患部を気にしての発言だったのかもしれない。

 けがには慎重な姿勢をとってきた。昨季欧州チャンピオンズリーグのRマドリードとのアウェー戦(2月15日)。敵地まで乗り込んだが左太もも打撲の痛みが消えず、当日に自らベンチ外を申し入れたこともあった。フランス戦には欧州ビッグクラブの強化担当が目を光らせる。冬の移籍を模索する本田には重要な試合のはずだ。残りの練習で出場の可能性を探ることにはなるが、万全の状態で臨むことを考え、フランス戦を回避する可能性もある。本田に、日本に、暗雲が立ちこめた。【栗田成芳】