【ゲンク(ベルギー)14日】日本代表のDF長友佑都(27=インテルミラノ)が、世界レベルの“ガチンコ対決”を制す。明日16日の親善試合オランダ戦に向け、合宿地で調整。10年W杯準優勝国オランダは予告先発をする一方、ザックジャパンは3日連続の完全非公開となった。相手は右ウイングに世界最高級FWアリエン・ロッベン(29=Bミュンヘン)を配置。初の直接対決となる左サイドバックの長友は闘志を燃やした。

 冷たい雨が、長友の体を打った。現地合宿3日目。冒頭15分だけ公開された練習で、FW香川とパス回しをこなした。前日13日の調整では、オランダ対策として3-4-3システムを試運転。まだ軽やかとは言えないまでも、世界最高級の相手を攻略する糸口を見いだそうと必死だった。直接勝負となるオランダの右ウイングには、ロッベンが入る。これ以上ない好敵手に、心に火が付いた。

 「ロッベンは世界でもトップ3に入るパフォーマンスをしている。そういう選手を止めないと勝利はないですし、強い相手だと思います。僕はロッベンとは(直接)対決したことはないんでね。09年(の親善試合)もマッチアップはしていない。すごく楽しみです。負けたくない戦いになる」

 最近4年間でオランダとは2度顔を合わせた。09年9月の敵地戦(0●3)では、ロッベンが左に入ったため“ガチンコ対決”は実現せず。10年W杯南アフリカ大会の1次リーグ(0●1)では、相手が故障欠場。長友は所属のインテルミラノでも3バックのシステムで中盤を任されており、日本では誰よりも理解度が高い。さらに10年W杯ではカメルーンのFWエトーを封じて勝利に導いた過去もある。確かな自信が「負けたくない」という言葉に表れた。

 復調のきっかけをつかみたい-。オランダは13日に日本戦の先発を公表。親善試合とはいえ、予告先発は異例のことだ。対照的に10月の欧州遠征で2連敗し、不穏な空気が流れる日本は現地入りしてから3日連続の非公開。本田と香川のダブルエースは無言を貫き、長友もテレビカメラの前で語った以外は、報道陣を避けるかのようにして足早に練習場を離れた。それでも胸には熱い思いがある。

 「僕らに失うものはない。立ち上がりからアグレッシブなサッカーを見せる」

 強豪オランダを倒すのは容易ではない。だが本格的な冬を迎えつつある現地で金星を挙げた先には、1本の道が見えてくる。W杯ブラジル大会へと続く、確かな道が-。【益子浩一】