蛍が“W杯当確ランプ”をともす。3月5日のニュージーランド戦(国立)に挑むサッカー日本代表23人が27日、発表された。不動のボランチだった主将のMF長谷部誠(30=ニュルンベルク)が右膝痛で選出されず、MF山口蛍(23=C大阪)の先発が確実となった。5月に予定される23人のW杯最終登録選手決定前最後の国際試合。自慢の運動量と守備力で、山口がブラジル大会への切符を確実にする。代表合宿は3月3日から都内で始まる。

 今年最初の日本代表戦は、5月に予定される23人のW杯最終登録選手決定前最後の一戦でもある。右膝痛のMF長谷部に代わり、MF遠藤とともにボランチでの先発が有力となった山口はこの日、大阪市内の練習会場で冷静に受け止めた。

 「毎回選ばれているのはうれしく思う。今まで通り、C大阪でやっているプレーを向こうでも出したい。(出場時間が)長くても短くても、与えられた時間の中で自分の役割をきっちりこなしたい」

 昨年7月の東アジア杯以降、ザックジャパンに定着した。国際Aマッチは8試合に出場し、今回で6度目の代表招集。「(戦術面は)だいぶ分かるようになってきた。海外の選手も、自分を少しでも理解してくれていると思う」。特に意識しているのは守備面といい「サイドバックが上がったところをしっかりカバーし、ピンチをつぶしていくことを求められている」

 昨年まではあくまで控えだった。果敢な守備で攻撃への起点となり、23人入りの可能性は高くはなっていたとはいえ、絶対的な保証はなかった。ザッケローニ監督はこの日、山口について「昨年いいパフォーマンスを見せてくれたが、オフは何も見ていないのでまだ分からない」と明言を避けた。だが、長谷部の故障再発もあり、ニュージーランド戦次第で「W杯当確」も夢ではない。

 W杯に向け、頼もしい秘密兵器も手に入れた。今季からイタリア・カンパリ社のカーボン製すね当てを使用。4万円以上する特注品で、フェラーリ社のエンジニアを務めるエンリコ・カンパリ氏が製作。アルゼンチン代表FWメッシ、スウェーデン代表FWイブラヒモビッチら世界的スターが愛用する軽くて頑丈な高級アイテムだ。

 今季からC大阪で主将を務める山口は、3月1日のJ1開幕を前に、現在の状態は「まだ60~70%くらい」というが、12年ロンドン五輪で知った世界舞台に立つ喜びは手放したくはない。改築前最後の代表戦となる国立で、蛍が輝く。【福岡吉央】

 ◆ボランチ争い

 現状は遠藤と長谷部が1歩リードしているが、長谷部の状態が気になるところ。続くのは山口と細貝。細貝は所属のヘルタで不動の存在となり、戦力としては主力2人を脅かせる存在。それでも急成長中の山口の方が、監督からの信頼をつかんでいるのは確かで、23人入りは濃厚とみられる。実質残り2カ月は、その他の当落線上の選手による激しい争いになりそうだ。