日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)が11月の国内合宿を一時離脱する可能性が21日、出てきた。日本代表は11月10日から愛知県内で合宿を開始する予定だが、指揮官は同時期にメキシコで公用が入っているという。14日のホンジュラス戦(豊田ス)、18日のオーストラリア戦(ヤンマー)の2試合の親善試合には間に合う見込みだが、合宿の序盤を欠席する可能性が高い。来年1月のアジア杯オーストラリア大会に向けた選手選考にも影響が出る恐れがある。

 アギーレ監督が、アジア杯に臨む日本代表メンバーの「最終選考」と位置付ける国内合宿で、一時離脱する可能性が出てきた。日本協会幹部によると「同時期にメキシコで公用があると聞いた。試合には間に合う日程で日本を1度離れることになりそうだ」と言う。公用の内容は不明だが、公式の表彰式になる模様。

 日本代表が11月10日から愛知県内でスタートさせる予定の国内合宿と日程が重複してしまう。アギーレ監督はメキシコでの公用を済ませた後、14日のホンジュラス戦で指揮を執れるように日本に戻る見込みだ。ただ、13日の公式練習と会見に間に合うかが微妙だ。

 現在、公用への出欠を含め調整中。だが、実際に一時離脱となれば、アギーレ監督と10年以上もともに仕事し、欧州のコーチライセンスも持つモラス・フィジカルコーチを中心にゲリング・コーチ、手倉森コーチらが脇を固めて練習を進めていくことになる。

 アギーレ監督は常々「アジア杯では前回王者として誇りを持って、それ(王座)を守らなければならない。アジア杯でベスト23人を選ぶために年内の親善試合を使う」と明言している。11月の親善試合2試合は、事実上の「最終選考試合」を意味する。さらに、アギーレ監督は選手選考の大切な判断材料として、試合だけでなく合宿中の選手の練習に対する姿勢や、宿舎内での規律にも厳しく目を光らせている。合宿の一定期間を不在にすると、新戦力などの「観察」が不足してしまう。

 過去の日本代表監督としては、02年11月20日のアルゼンチン戦直前に母マチウダさんが亡くなったジーコ氏が緊急帰国している。同18日からの合宿とアルゼンチン戦は当時コーチだった山本昌邦氏が監督代行として指揮を執ったケースがある。今回はそれとは異なるケースだが、代表監督の一時離脱は異例とも言える。

 アギーレ監督は就任後、これまでの親善試合4試合で新戦力を積極的に登用してきた。J1の視察や海外組のビデオチェックも欠かさず、選手選考を進めてきた。全ては当面の目標であるアジア杯での2連覇を達成するため。公用とはいえ、国内合宿という選手チェックの日数が減ることになる。

 短期間で「アギーレ色」を注入しながら選手選考を行うという難作業に挑まなければならない。ただでさえ、選手とのコミュニケーションを重視するだけに、少ない代表活動のうちの数日間を失うことは、アギーレ監督にとっては痛恨のはずだ。

 ◆ジーコの代表離脱

 日本代表監督として就任第2戦となった02年11月20日の親善試合アルゼンチン戦の直前、16日に母マチウダさん死去の悲報が届いた。ジーコ氏は日本協会と話し合いの上で17日にブラジルに緊急帰国。18日からの国内合宿とアルゼンチン戦は山本コーチが監督代行として指揮した。代表活動が終わった同月下旬にジーコ氏は再来日した。また、02年日韓W杯前には、トルシエ監督が日本代表メンバー発表会見を数日前に突然キャンセルしたこともある。

 ◆アジア杯の選手登録

 アジア杯オーストラリア大会の選手登録は、1次登録が12月9日に締め切り。この時点で出場国は18~50人の選手をアジア・サッカー連盟(AFC)に申請する。12月30日に締め切られる最終登録は、1次登録の選手の中から23人に絞り込むことになる。また、日本代表招集に関する拘束力が発生するのは、1次リーグ初戦パレスチナ戦の15日前にあたる12月29日から。