<アジアCL:G大阪1-1浦和>◇準決勝第1戦◇8日◇万博

 北京五輪代表の浦和MF細貝萌(22)が、「ガンバ戦男」ぶりを発揮し、貴重なアウェー弾を奪った。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦でG大阪と激突。前半22分、相手DFのクリアに反応し、果敢にシュートして先制点を挙げた。後半36分にPKで追いつかれて1-1と引き分けたが、G大阪との相性の良さを自認する若武者が、疲労と故障者続出に苦しむチームを救った。第2戦は22日。

 前半22分、相手DFのクリアにMF細貝が詰め寄った。こぼれ球に直接右足を振り抜いた。「抑えて当てるだけでした。ゴール枠に飛ばそうとだけ思った」。エンゲルス監督が「大事なのは1点取ったこと」と絶賛したアウェー弾。冷静に決められた理由がある。「自分なりにG大阪とやる時は相性がいいと、リラックスしていた」。

 細貝にとってG大阪戦は幸運の詰まったカードだ。05年4月9日のJデビュー、昨年7月14日ナビスコ杯で公式戦初得点を決めた時もG大阪戦。「A契約になったのもガンバ戦でした」。初めて主力として優勝に貢献した06年度天皇杯決勝の相手もG大阪。これでACL初得点も加わった。5日千葉戦は疲労を考慮されて出場せず「疲れていた人の分までやろう」と発奮。左足首ねんざの闘莉王ら、心身ともに満身創痍(そうい)のチームメートを助ける得点となった。

 今年3月、途中就任したエンゲルス監督に「ボランチで勝負したい」と直訴した。オジェック体制までDFや右サイドで起用されたが、北京イヤーで意識改革した。「正直な気持ちを伝えたのは大きい」と振り返る。昨季はリーグ戦8試合出場が、今季は28節終了時で20試合に達した。寮を離れて1人暮らしも開始。体調管理のために早寝を実践し、自炊にも挑戦した。

 「声でチームを引っ張りたい」という自覚も五輪代表の反町監督に伝わり、4月の練習試合でゲーム主将も任された。同五輪はナイジェリア戦、オランダ戦に先発出場。1次リーグ敗退の悔しさを胸に浦和で定位置を奪い、大舞台で活躍するまでに成長した。

 後半12分に受けた警告で、22日の第2戦は出場停止になる。細貝は「次も一丸になってやれれば」と託した。相馬、都築も出場停止だが、同監督は「うちは選手層が厚い。ホームで勝てばいい」と自信を持つ。それも準々決勝第2戦で先制弾を決めたMF相馬に続き、この日は細貝というラッキーボーイが誕生したからだ。逆境に立っても日替わりヒーローが生まれるのが、浦和の強み。アジア連覇に向けて、チームは勢いを取り戻した。【藤中栄二】