J2磐田が名波浩監督(42)による異例のシュート指令でゴールへの意識を高めて敵地に入った。今日10日に水戸とのアウェー戦を控え、9日は磐田市のヤマハスタジアムでセットプレーの確認などを消化して最終調整。さらに指揮官は念入りなシュート練習を指示し、選手に得点を奪って勝ちきる重要性を説いた。6戦負けなしと好調を維持したまま、J1復帰に向けて正念場となる残り7試合へ突入。シーズン終盤戦へ、今年は得点力で加速していく。

 名波監督が、選手の動きに鋭い視線を送った。両サイドからクロスを上げ、ゴール前に2人が飛び込んでDFと駆け引きをしながらシュートを放つという実戦的な練習を繰り返させた。大きな声を張り上げ「連続でゴールを決めよう!」と選手を鼓舞した。

 通常の試合前日練習は、明るい雰囲気でリラックスゲームに取り組む。ところが、この日はセットプレーの確認と異例となるシュート練習のみ。さらにピリピリムードも漂った。水戸戦に向け、同監督は「ピリッとした練習ができた」と手応えを口にした。

 1年間の成長が試される時が来た。シーズンも残り7試合。J1復帰を逃した昨季は1勝5分け1敗と大失速を喫した苦い思い出がある。今年はこの時期でも試合終盤に選手の足が止まることが減り、同監督は「(試合中の)体力が、去年とは雲泥の差」と自信を見せる。さらに現在6戦負けなし(4勝2分け)と地道に勝ち点を積み重ね、自動昇格圏内の2位をキープ。「今年はしぶとく勝利したい。選手たちも、勝ち点1の重みは分かっている」と冷静に話した。

 今季は先制点を挙げた20試合で14勝5分け1敗と勝率7割を誇る。攻撃陣は現在、2試合連続2発と好調のMFアダイウトン(24)、ケガから復帰したジェイ(33)と万全の態勢だ。先制ゴールを奪う駒はそろった。「勝ち点3が重要。負けないゲームをするのではなく、勝ち続けなければいけない」と同監督。念願のJ1舞台を見据え、磐田はゴールへの意識を高めて終盤戦を戦う。【保坂恭子】