J2札幌は鳥栖にPK戦の末敗れ、13年度以来2年ぶりの4回戦進出はならなかった。延長を含めた120分間で0-0と決着がつかず、PK戦で1-2で及ばなかった。18日のリーグ磐田戦を見据え主力を温存。先発メンバーを大幅に入れ替えての対戦は敗れたが、残り6戦にかかるプレーオフ進出へ、収穫のある一戦となった。

 リーグ戦とはメンバーがガラリと入れ替わっても、J1相手に互角の戦いを演じた。相手先発FWには元日本代表の豊田がいた。それでもDFラインを下げ、守りを固めることはなかった。ボールをつないで、虎視眈々(たんたん)とゴールを狙った。スキを見てチャンスをつくりながらも、集中した守りで120分無失点に抑えた。

 10日のリーグ金沢戦から先発11人全員を代えたが、GK金山が最後尾からもり立て、ルーキー進藤、3年目の永坂ら若いDF陣も体を張って耐えしのいだ。PK戦では敗れたが四方田修平監督(42)は「120分、最後まで戦い抜いた選手たちを誇りに思う。それだけに、結果につなげてあげたかった」とかれた声で振り返った。

 異例の対応は、決して無駄ではなかった。10日金沢戦の先発メンバーは12日、完全オフ。さらに13日の前日練習後、報道陣に事前の段階で先発メンバーを公開しないよう協力を要請。これまで天皇杯を含め公式戦13戦、オープンな姿勢で臨んできたが、14戦目にして初の報道規制を敷いた。

 鳥栖サイドから、天皇杯では通常2時間前のメンバー交換を、リーグ戦同様2時間半前に早められないか提案され、承諾した。セットプレーの対策を立てられることを危惧したが、結果的に無失点。さらに古田の負傷や、内村の復帰がずれ込んだため、ベンチメンバー7枠を5人に減らし遠征と、厳しい環境での戦いも十分、収穫はあった。

 これからの目標は、リーグ戦ひとつになる。残り6戦で勝ち点5差に迫っているプレーオフ圏入りを狙う。指揮官は「自分たちの攻撃、自分から奪いにいくという守備はトライできた。リーグ戦も続くので、これを前向きにとらえ、切り替えて週末に向けて準備したい」と前を向いた。J1相手に奮闘したメンバーたちも加え、チーム内競争をさせながら、さらに勝てるチームへと磨き上げていく。【永野高輔】