元日本代表のベテランによる「最年長コンビプレー」が、勝利を導いた。横浜が3-0で柏に快勝。0-0の前半45分、MF中村俊輔(37)の右CKをDF中沢佑二(38)が頭で決め、チームに勢いを与える先制点を挙げた。2人の年齢合計は75歳。これまで鹿島の「サントス→ジーコ」ら3組がマークしていた、アシストと得点した選手の合計のJ1最高齢記録74歳を更新した。

 一時代を築いたベテランの武器は、まったくさび付いていなかった。0-0の前半45分。右CKからMF中村が狙いを定めた。左足から放たれたニアへのゆったりとした弾道に、DF中沢が飛んだ。頭1つ抜け出した代名詞の「ボンバーヘッド」で、ゴール左隅に流し込んだ。笑みを浮かべながら静かに抱き合った。中村のJ1歴代最多22得点の直接FKを生んだ左足、中沢の187センチの高さと駆け引き。日本のトップで戦ってきた男の持ち味が、凝縮されたゴールだった。

 あうんの呼吸がある。2人は7年以上、ともに横浜でプレー。中村は「ボンバー(中沢)はニアに来ると思った」と予測していた。それに対し、中沢は「俊(輔)は練習では合わせてくれないけど、試合だと合わせてくれる」とおどけるが、したたかに狙っていた。14年5月川崎F戦以来、2年ぶり通算7点目となる「中村→中沢」ラインの得点だった。

 2人の合計年齢は75歳。アシストと得点した選手の年齢を足した歴代最高齢記録も更新。38歳の中沢は「足さなくていいよ」と笑い飛ばした。後半44分に退いた37歳の中村は「(試合を)3-0とかにして、早く交代したい。それでもっと引退を遅らせないと」と冗談めかした。全体練習後の居残り練習、体のケアは毎日欠かさず。長く第一線で戦ってきたからこそ生まれた価値ある記録は、日々の小さな積み重ねのたまものだ。

 定位置を譲る気はない。中沢は「僕も俊(輔)も(鹿島MF小笠原)満男もJリーグで出ているベテランと呼ばれる選手は負けたくないという意地とプライドがある。やれて当たり前という感覚だから、ピッチに立てる。そうじゃないと若手に譲った方がいい」。常に最前線で戦い続けてきた自負がある。向上心も人一倍だ。まだまだ衰えは見られない。【上田悠太】