逆転で6月1勝! J2札幌は長崎に2-1で、5月28日山口戦以来3試合ぶりの白星をつかんだ。前半19分に先制を許すも、同26分にFW都倉賢(29)が同点弾、同33分にFWヘイス(27)がホーム2戦連続得点を決め、今季初の逆転勝利につなげた。昨季から続く札幌ドーム連続無敗記録も14試合に伸ばした。17試合で11勝3分け3敗。勝ち点36に伸ばし、1試合未消化ながら首位をキープした。

 札幌が助っ人ヘイスのホーム2戦連発で、あっさり逆転勝利をつかんだ。1-1の前半33分、DF櫛引のクリアボールのこぼれ球を自陣で拾うと、都倉とのパス交換から再びボールを受け、ドリブル突破。右のMFマセードに展開し、自ら中央に走り込み、折り返しを左足で流し込んだ。

 マセードとのブラジルラインで、相手DFを完璧に崩した。「マセードに出した時点で点を取ってくれというパスだったけど、走り込んだら、彼の素晴らしい判断で、良いパスがきた」。4日千葉戦は1-2から同点弾、今度は自陣から約65メートル必死で走って、J初の決勝弾をたたき込んだ。

 連敗阻止へ四方田監督は今季、攻撃の核として奮闘していたMFジュリーニョを初めてベンチに下げた。松本戦で徹底マークされた7番から、途中出場で徐々にキレを見せ始めている11番にシフトチェンジし、見事にはまった。「中盤でのおさまりや、チャンスをつくって、また中に入っていく動き。いいプレーを出してくれた」と評価した。

 得点後、観戦していたタイース夫人(24)と息子のカイケ君(6)に向けハートポーズを掲げた。10代でオランダに渡り、素行の問題や右膝の大ケガもあり、つまずいたが、結婚して子供が生まれ改心した。そして今は「息子を札幌のサッカースクールに入れて日本の礼儀を学ばせたいんだ」と言う。激走でつかんだV弾は、選手として親としてリスタートを告げる大事な1歩であり、家族との愛の力と絆を示すものだった。

 5戦ぶりの先発チャンスを、ものにした。チームを3戦ぶり白星に導いたが、満足はしていない。「次もホーム。必ず勝って、さらに上を目指せるようにしたい」。都倉、内村、ジュリーニョ、そしてヘイス。札幌が着々と得点源を増やし、首位の座を固めていく。【永野高輔】