<J1:G大阪2-1東京V>◇第3節◇30日◇万博

 G大阪FW播戸竜二(28)が今季リーグ初得点で「3つのお祝い」を実現した。東京V戦の前半13分、ジャンピングボレーで先制点を決め、2-1のリーグ初勝利につなげた。これがG大阪のリーグ通算900点目となる記念弾で、この日が誕生日だった母洋子さん(54)へ最高のプレゼントにもなった。G大阪は開幕3試合目で初勝利。点取り屋の活躍で3年ぶりの王座奪回へ、力強く再発進した。浦和は3-0で新潟を、川崎Fも2-0で千葉を下して昨季の上位勢がようやく初勝利を飾った。

 雨の万博は「播戸劇場」に変わった。試合後のインタビュー。マイクを握り、アントニオ猪木のパフォーマンスをもじった「1、2、3、バーン!」で歓喜の勝利を締めくくった。「みんなで喜びたかった。ほんまにいいゴールやった」。雄たけびに合わせ、スタジアム中が右手を突き上げた。

 抜群の得点感覚を見せつけた。前半13分、橋本のクロスを相手DFと競り合い、ジャンピングボレーで決めた。先発を奪い返したACL全南戦に続く公式戦2試合連続弾。一度は追いつかれたが、この得点が今季初勝利につながった。G大阪のリーグ通算900点目に「1000点やないから、別に節目やと思わへんよ」と苦笑いしたが、06年8月には800点目も決めている。天性の勝負強さを発揮した。

 この日は母洋子さんの誕生日だった。兵庫・琴丘高を卒業する前の進路相談。「プロに入れなければ、ブラジル留学」と書いた。怖い物知らずの夢にも背中を押してくれたのが洋子さんだった。誕生日には「フライパンを要求されたわ。主婦やからね。ええやつが欲しかったんちゃう」。ゴールが最高の贈り物だ。

 試合後、珍しくピッチ中央に選手全員の輪ができた。呼びかけたのが播戸だった。だれもが肩を組み、優勝したかのようにはしゃいだ。常勝軍団でもそれほどうれしかった今季3戦目での初白星。西野監督も「得点もできて、結果も出た。評価したい」と喜んだ。日本代表から外れた播戸だが、再招集も狙う。浪速の闘魂FWの巻き返しとともに、G大阪が逆襲ののろしを上げた。【北村泰彦】