右太もも裏痛で別メニュー調整していた浦和FW高原直泰(28)が、2日のアウェー清水戦に向けた静岡遠征に緊急帯同した。1日にチーム練習に合流。主力組から外れて若手と一緒にシュート練習を消化した後、エンゲルス監督に遠征参加を直訴した。スクランブル発進で、復調したチームを勢いづける姿勢を見せた。

 主力組から外れて練習していた高原が、颯爽(さっそう)と遠征スーツ姿でクラブハウスから出てきた。スーツケースも持参し、清水戦の遠征メンバーに入ったことを明言。「一応、(遠征に)行くことになりました。明日(2日)の状態次第ですけど。明日(試合に)出たら話します」と自信の笑みを浮かべた。

 スクランブル帯同で気持ちが高ぶっていた。当初は5日に控える古巣・磐田戦での復帰予定だったが、この日の練習から全体練習に急きょ合流。主力組メニューには参加しなかったが、若手とともにシュート練習を繰り返した。負傷していた右太ももを気にせず、跳び上がってトラップし、全力ダッシュや強烈シュートも連発した。首脳陣に完全回復をアピールしていた。

 プレー以上に言葉でも訴えた。練習後、クラブハウス内でエンゲルス監督と緊急面談し、復帰への強い気持ちを伝えた。練習終了直後には高原の帯同に否定的だった同監督もエースの熱意を受け入れた。同監督は「ドクターを含めて話をした。試合も夜だし、出るかどうかは明日の昼ぐらいまでに判断すればいい。(出場の)可能性がなければ連れていかない」と、回復次第では途中起用する方針を明かした。

 エースの誇りが、体を突き動かした。欠場した3月30日の新潟戦でチームは今季初勝利。エンゲルス新体制で復調しつつある中、自らも力になりたかった。日本平スタジアムのある静岡・清水区には母校の清水東がある。5日の磐田戦は古巣対決。「地元」で勇姿を見せたい気持ちも強かったはずだ。エンゲルス監督も「高原に(試合を)やりたい雰囲気がある」と気持ちを代弁した。

 今年1月にドイツから日本にカムバック。代表&浦和のエースとして期待されながら、序盤からコンディション不良や故障に泣き、今季公式戦5試合無得点が続く。スクランブル帯同した高原は、故郷・静岡で反攻を始める。【藤中栄二】