アンデルソンがブラジルトリオのキーマンになる-。コンサドーレ札幌は明日29日、アウェーでG大阪と対戦する。中断期間中に加入したFWアンデルソン(30)は、27日の紅白戦で1ゴール1アシストを記録。フリーマンのMFクライトン、縦への直線的な動きが特徴のFWダビに比べて、つぶれ役をこなし、周りを生かすパスも出せるなど“黒子”としての動きを披露した。点取り屋として、チームの攻撃の幅を広げる存在として、期待は高まっている。

 日本デビュー戦を前にして、アンデルソンの動きが熱を帯びてきた。27日、札幌・宮の沢の練習場で、中断期間中初めてレギュラー組、サブ組による紅白戦が行われた。開始16分、鮮やかなヘディングでゴールネットを揺らすと、その3分後には脇役へ早変わりする。ドリブル突破から十分に相手DFを引きつけパスを出し、MF西のゴールをアシスト。FWダビへも25メートルのスルーパスも決めるなど、20分の紅白戦でフルに動きまわり、存在をアピールした。

 つぶれ役も辞さない。ダビとのコンビについて三浦監督も「スペースに出るタイプ(ダビ)とボールが収まるタイプ(アンデルソン)。コンビとして悪くない」と評す。ダビも「サイドに流れたり。動き回れる選手」とそのプレーを評価した。紅白戦でオフサイドになった際には三浦監督から「これじゃ、G大阪戦では毎回オフサイドになってしまう」と叱咤(しった)されたが、それも期待値が高いからだ。

 試合では“火消し役”も務める。ダビとクライトンはともに警告累積が3枚で、あと1枚で出場停止。アンデルソンは「クライトンは経験もあるし大丈夫だと思うが(警告をもらわないように)普段でも3人で話して、意識付けしているよ」という。ともにチームに不可欠な選手だけに、過去に公式戦で1枚も異議での警告を受けていない冷静な男が、カッカしがちな2人をいさめる。

 11年前、初渡欧先ポルトガルで所属したアルベルカで、ブラジル出身MFデコ(ポルトガル代表)に出会った。同世代。遊び、語り合う仲だった。「今はお互い遠く離れてしまったけどね。僕は札幌で頑張るよ」。この日の練習後は「話すことはない」とノーコメントを貫くなど緊張感も出てきた。チームカラーの赤いシューズを新調し、G大阪戦を待つ。【上野耕太郎】