<J1:大分1-0大宮>◇第22節◇24日◇九石ド

 五輪代表から日本代表へステップアップだ。大分DF森重真人(21)とGK西川周作(22)が、加藤好男日本代表GKコーチ(51)が視察した大宮戦で完封勝利に貢献。森重は0-0で迎えた後半41分に、CKから決勝ゴールを決める勝負強さを見せつけた。25日に行われるW杯最終予選初戦のバーレーン戦のメンバー発表を前に、大分の五輪コンビが絶好のアピールに成功。リーグ戦9戦負けなしで首位に2差とした。

 大分の五輪戦士が、次なるステージへ歩み出した。貴重なゴールと激しいディフェンスで、チームにリーグ戦9試合連続負けなしとなる勝利をもたらした森重が、きっぱり言い切った。「北京では悔しい思いをしたが、切り替えてやっている。日本代表に選ばれたいと思っている」。3戦全敗で終えた北京五輪の惨敗を引きずる暇はなかった。

 ピッチの上で巻き返しを図るしかない。森重は結果にこだわった。北京五輪初戦では、米国を相手に主導権を握りながら1点に泣いた。その試合では決定機も外した。「勝てるチームが強いんだ。向こう(北京)で感じたし、Jリーグでも上位にいるチームはそうだし」。試合開始直後から、大宮の190センチFWラフリッチのマークに追われたが、相手がいらつくほどのハードマークで完封。そして0-0で迎えた後半41分の好機は逃さなかった。

 FWウェズレイの右CKを大宮GK江角がパンチングしそこねたこぼれ球に素早く反応。「(高橋)大さんに当たってこぼれてきた。しめたと思った」。飛び上がりながら右足で振り抜いたシュートは、北京で学んだ「苦しみながらも勝てるチーム」となるための、脱皮を示すゴールだった。

 北京五輪から帰国後、これで2試合連続の1-0完封勝ち。チームは順位は4位のままだが、首位浦和の勝ち点2差に肉薄した。北京から帰国した直後、西川と森重に燃え尽き感を覚えたというMF鈴木からかけられた言葉がある。「これで終わりじゃない。世界での経験をこれからに生かせ」。日本代表発表は25日。これまで候補合宿にも呼ばれたことはない。「呼ばれればうれしい」。世界での屈辱は、世界で晴らすしかない。次なる目標に向かって森重が踏み出した。【村田義治】