公式戦9試合白星なしと不振が続くG大阪西野朗監督(53)が10日、シーズン中に異例の「ざんげ」をした。右足甲の故障を押して強行出場させてきたDF安田理大(20)について、自らの起用ミスを認め、13日名古屋戦(万博)と17日のACL準々決勝第1戦アルカラマ戦(アウェー)から外すことを明言した。苦渋の決断だが、名将があえてざんげすることで、常勝軍団が蘇生(そせい)できるか注目が集まる。

 異例のざんげだった。西野監督はこの日、苦しいチーム事情から安田を強行出場させてきた自らの非を認めた。「オレの起用が間違っていた。少し(治療に)専念しろということ。ああいう(前向きな)やつだけど(本人も)そうしたいと言った」。全日程終了後の総括で猛省する指揮官はいても、シーズン中となれば異例のコメントだ。

 安田本人と話し合った上で、名古屋戦とACLアルカラマ戦から外すことを決めた。安田は8月10日の北京五輪1次リーグ、ナイジェリア戦で右足甲を強く踏まれ、痛みを抱えて帰国した。骨に異常がないことから、8月23日神戸戦から3試合連続先発させたが、好調時のキレが戻らない。7日ナビスコ杯準決勝清水戦第2戦では先発から外したが、劣勢の展開で途中起用した。結局、4試合連続の出場となった。

 西野監督は「時間を制限すれば少しくらい(できる)と思って引っ張ってきたが、ここ数試合は本来のプレーじゃなかった」と見込み違いを認めた。

 現在はクラブワースト記録となる公式戦9試合白星なしと低迷が続く。リーグは首位名古屋と勝ち点8差の6位で、2連覇を狙ったナビスコ杯も準決勝敗退。「プランどおりじゃなくて歯がゆい」という。13日の首位名古屋との直接対決と初Vを狙うACLで主力の安田を外すのは苦渋の決断だったはずだ。それでも完治を優先させるのは、選手の将来を考えてのこと。

 FWバレーがアル・アリ(UAE)に電撃移籍してから未勝利だが、「それは言い訳にしたくない」と西野監督。最後の最後で、やっと反省の弁を述べた相撲界の北の湖前理事長とは対照的な潔さ。この“ざんげ”を再出発の合図にし、G大阪が反撃を開始する。【北村泰彦】