<天皇杯:横浜1-0札幌>◇4回戦◇2日◇ニッパ球

 横浜の新人MF兵藤慎剛(23)が待望のプロ初得点を決めた。札幌戦の後半25分。左サイドからの低いクロスを、大事に右足インサイドで押し込んだ。「今日負けたら自分のせいだと思っていた。何とかしようと思っていた」。わが事のように喜ぶ仲間にもみくちゃにされた。

 長崎・国見高時代は東京平山らとともに全国制覇。早大卒業時には浦和や柏など複数クラブが獲得に動いた05年ワールドユース日本代表の司令塔。この日は本職ではないFWに入りながら、巧みな動きで決定機に顔を出した。だが前半5分、27分と大きなチャンスを外し、最近リーグ戦でも逸機が続いた「トラウマ」が頭をよぎった。そんな悪い流れを断ち切るゴールに「そろそろ決めろと冗談交じりに言われてたけど、さすがに気になってました」とほっとした笑顔を見せた。木村監督も「彼が決めてくれたのは、チームにとって大きい」とうなずいた。ここまで公式戦31試合で無得点だった大器が、横浜を92年以来の天皇杯Vへと引っ張る。