【グアム1日=永野高輔】キリノがダビの穴埋める!

 コンサドーレ札幌は2日、大宮と今季初の練習試合を行う。点取り屋の期待がかかるFWキリノ(24)は、この日の8対8のグループ戦術練習で猛アピール。攻撃ではDF裏に抜ける素早い動きでチャンスをつくり、守備でも精力的に走り回るなど、高い運動量と鋭い得点感覚を示した。初の実戦では、快足を生かして石崎札幌初ゴールを奪う。

 ダビが抜けても、キリノがいる。この日のグループ戦術でも新エースがアピールした。DF吉弘の裏に抜けると、芳賀からのロングパスを受け右足でゴールを狙う。守備でも前線を献身的に走り回りボールを奪う。攻守にわたる全力プレーに、石崎監督も「ゴー、キリノ、ベレーザ(いいぞ)!」を連発。キリノも初実戦を前に「もっとボールを使ったプレーで、アピールしたいんだ」と闘志満々だった。

 評価は日増しに高まっている。「ルーズボールに寄せる1、2歩目が速い。奪ってからの加速も、また速い。ボール扱いもダビよりうまいかも」とDF西嶋。ボールが動いてから走りだすタイプのダビに比べ、キリノは先を読んだ出足の鋭さと、位置取りのうまさも兼ね備えているようだ。スタート1歩目でDFを振り切り、ゴール前に飛び出すのが得点スタイル。スウェーデン時代のキリノのビデオを見た沖田コーチも「DFの裏で(ボールを)受けて勝負する選手」と話している。

 性格は超まじめ。FW中山は「ボールを取られても必死で戻る。チャレンジしようという気持ちが伝わる」という。キャンプ初日の21日に右ふくらはぎをつり離脱したが、2日目からフルメニューを消化。この日は、MFダニルソンが左内転筋の張りのため午後練習から、DF趙は前日1月31日に続いて右もも裏の張りで終日、別メニューとなった。キリノだけが外国人選手で、ただ一人“皆勤賞”とタフネスぶりも発揮している。

 U-19、U-20、U-23と世代別ブラジル代表に選ばれるなど、実績十分ながら練習態度は至って謙虚。速くて、うまくて、まじめな男が札幌をJ1に引き上げる。