<ゼロックススーパー杯:鹿島3-0G大阪>◇28日◇国立

 鹿島FW興梠慎三(22)が、日本代表の岡田武史監督(52)の眼前で代表定着を猛アピールした。史上初のリーグ3連覇を目指す鹿島がG大阪に3-0で完勝し、10年ぶりに大会を制した。興梠は前半6分に豪快な左足ボレーシュートで先制ゴールを奪うなど、全3得点に絡む大活躍。2月11日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦では代表メンバーから落選したが、自慢のスピードをいかしたプレーで、視察した岡田監督に存在感を見せつけた。

 高い身体能力が鮮やかな先制点を生みだした。前半6分だ。左CKをDF岩政が相手DFと競り、こぼれたボールに興梠が鋭く反応する。体を宙に投げ出しながら豪快な左足ボレー弾を突き刺した。「運良くこぼれてきただけです」と控えめだったが、3万6880人の観衆を完全に魅了した。

 自慢のスピードでG大阪DF陣を切り裂いた。「相手DFは速くないのを知っていたので、ボールを持ったら行こうと思った」。同14分にFWマルキーニョスの追加点の起点に。そして圧巻は同39分。縦パスに反応してペナルティーエリア内に走り込むと、一瞬のスピードで並走するDF山口を振り切り、MF野沢のゴールをアシストした。

 1月29日のアジア杯最終予選バーレーン戦後、日本代表から外された。代表に残るために何をするか-。考えた末に「岡田監督もドリブルとかスピードとか、僕の持ち味を評価してくれていると思うので、それを研きたい。他のプレーをしても(代表に)呼んでくれないと思う」と割り切った。そんなスピードへのこだわりを貫いたプレーに対し、日本代表の岡田監督は「どう見ても素晴らしいでしょ。点も取ったし、(持ち味も)出たんじゃないですか」と絶賛した。

 注目の新人FW大迫の存在も刺激になっている。「あのような選手が入ると競争が激しくなるし、プレッシャーがある。いいことだと思う」。競争を前向きにとらえるところも、鹿島の鈴木満強化部長が「試合を重ねて自信がついたことが大きい」と話すように心身が充実している証拠だ。

 それでも当然、満足はしていない。「まだ調子は悪いです。結果が出たのはうれしいけど、もっと自分でドリブルでいってゴールを決めたい」。妥協なき視線の先にはリーグ3連覇、アジア制覇、そして代表の座がある。【菅家大輔】