<J1:清水4-1山形>◇第14節◇20日◇アウスタ

 「守備の要」のまさかのミスを引き金に、山形が惨敗した。中断していたリーグ戦が再開され、12位山形は清水に1-4で敗れた。前半5分、DFレオナルド(26)が、クリアしようとしたボールを空振りし先制された。前半9分に2点目を奪われ、さらにパニック状態に。日本代表FW岡崎にも突き刺された。リーグ戦6試合未勝利で、15位に後退。J2降格圏が、徐々に近づいてきた。

 狂った歯車を元に戻せない。それだけの底力が、山形にはなかった。公式戦7試合ぶりに復帰したレオナルドが開始早々、考えられないミスを犯した。ペナルティーエリア内でハイボールを空振りし、清水FW原が先制点。小林監督が「あっけにとられた。試合前テンションが高くて、落ち着かせたのだが」と、守備の要の失態を振り返った。

 立ち上がりの失点で、ピッチ内が動揺した。MF広瀬が「パニックになっていた」というように、守備が落ち着かない。前半9分、清水DF市川のライナー性のクロスをオウンゴール。経験豊富なDF石川でさえ首をひねるばかりだ。

 ハーフタイムの「1点取ればゲームは分からない」という指揮官のゲキに、広瀬が応える。後半1分、MF宮沢の左クロスに、逆サイドから駆け込み頭で追撃弾。だがその5分後、今が旬の男・岡崎に息の根を止められる。小林監督は「うちの選手が見てないことを(岡崎は)分かっていた。個の力」と役者の違いぶりに歯ぎしりだ。

 1-3の後半9分から、1カ月以上ブランクのあるFW古橋、MF北村をぶっつけ本番で次々投入したが流れを呼び込めず、今季最多の4失点。得失点差も、今季初めてマイナスの領域に踏み込んでしまった。

 選手の不安を代弁するようにGK清水が「分かってます。情けない」と、降格圏内が近づく怖さを口にした。「勝ちを計算できるチームは多くない。粘り強くやるしかない」。悪夢を振り払い、自らにも言い聞かせるような指揮官の言葉だった。【山崎安昭】