3月6日の開幕まで1週間。調子の上がらないJ1磐田は27日、最後の練習試合をJ2甲府と行い、日韓代表ホットラインの得点で光明が見えた。主力組で臨んだ第1試合、0-2で迎えた後半22分、日本代表DF駒野友一(28)のクロスに、韓国代表FWイ・グノ(24)が頭で合わせゴール。Jクラブ相手では304分ぶりの得点だった。

 日韓ホットラインが開通した。後半22分、駒野が縦へのドリブルから鋭く切り替えした。その瞬間、中央のゴールから遠ざかるように動きだしたイ・グノに、左足でクロスを通した。マークを外した相手DFの頭上を越え、イ・グノは体をそらしながら頭でゴール。一瞬の動きだしは見逃さず、絶妙なクロスで呼応した駒野は「ああいう相手から逃げる動きは合わせやすいし、相手も嫌がる」と、手応えを口にした。

 14日の神戸戦以来、Jクラブ相手では304分ぶりの得点だった。イ・グノは「ジュビロはサイドが生きて初めて攻撃が成り立つ」と、サイド攻撃に胸を張った。ハイレベルなゴールに柳下監督は「後半は修正するところはない」と、後半の戦い方に太鼓判を押した。この日も勝利を逃し、練習試合で主力組は6戦連続未勝利となったが、最後の最後で最低限の形をつくることはできた。

 駒野、イ・グノともに3月3日に代表戦を控えるため、開幕直前までチームを離れる。実戦形式での連係の確認は27日が最後だった。イ・グノはイングランドでの親善試合のため、開幕戦仙台戦の前日3月5日の合流を強いられる。時差との闘いにもなるがイ・グノは「強い精神力を持ってやるしかない」と言い切った。

 4日に合流予定の駒野は「3日間離れることになるけど、今日の後半のような感覚を忘れないでほしい。1週間で意識を高めていかないと、去年と同じようになってしまう」と、訴えるように話した。危機感をばねにしたい。【栗田成芳】