<J1:湘南1-1山形>◇第1節◇6日◇平塚

 なんとか勝ち点1を拾った。モンテディオ山形は昇格組の湘南相手に、相手オウンゴールで追いつきドロー発進となった。FW田代有三(27)、長谷川悠(22)の「ツインタワー」に放り込む単調な攻撃で、リズムに乗り切れなかった。6発圧勝スタートの昨季とは打って変わった開幕戦となり、また残り3月の対戦相手は鹿島など強豪ぞろい。厳しい幕開けとなった。

 「入れ!」。後半ロスタイム、MF古橋達弥(29)が念じたヘディングシュートが、ポスト脇を無情にも転がる。ピッチをたたいて古橋は、悔しさをあらわにした。「自分が決めていれば勝てていた試合」。白星スタートを切れず、試合後の足取りは重かった。

 キャンプ中、指揮官が懸念した「ツインタワー」の“反作用”が出て、流れをつかめなかった。187センチの長谷川と181センチの田代が空中戦に強いため、次々ボールが放り込まれる。だが、セカンドボールを拾えず「単調な攻撃になった」と小林監督は唇をかんだ。

 今月の残りリーグ戦は、清水、浦和、鹿島と強豪ぞろい。しかも、この3チームからは、昨季リーグ戦で勝ち点1しか奪えていない苦手クラブだけに、湘南からは絶対に勝ち点3を奪いたかった。

 だが、悲観する必要はない。0-1の前半40分、古橋の左クロスの処理を相手GKが誤り、オウンゴールで同点とし「ラッキーなゴールでも、アウェーで負けなかった」(同監督)のは救い。さらに、新戦力で先発したのは田代だけだったが、指揮官は「焦らず試合をこなしながら修正して、新しい選手もチームとして機能できるようになればいい」と前を向いた。

 決定機を増やすために取り組んできた、2列目に古橋を配置する形も試せた。古橋が「チャンスを多く作れた。この先も続けて、攻撃陣が決められれば勝てるようになる」と話すようにイレブンも、攻撃パターンが増えたことに手応えを得ている。今はまだ進化の途中-。白星発進は出来なかったが、チームの歯車が合う日は、遠からず訪れるはずだ。【山崎安昭】